Mohammed Ali Melhem
「抜」の動詞の違いと使い分け 「抜く」と「抜ける」と「抜かす」と「抜かる」の違いは何でしょうか? いくつかのウェブサイトに「これは難問です」が回答として書かれています。簡単な説明を探してみたが、みつけられませんでした。 宜しくお願いします。
Dec 5, 2019 7:42 PM
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***0: 【はじめに】 「抜く→抜ける→抜かす→抜かる」は、 「はぐ→はげる→はがす→はがれる」と同じ構造です。 しかし、「はぐ/はがす」「はげる/はがれる」のA/Bでは、AとBがだいたい同じ意味なのに対し 「抜く/抜かす」「抜ける/抜かる」は、たがいに意味がぜんぜん違います。 ***1: 【まずは安易に回答してみます】 「抜く/抜ける」 「抜かす/抜かる」 がそれぞれ、「他動詞/自動詞」の一組です。 抜く、は、「長いものを引っ張り出す(あとに穴が残る)」が基本的な意味(※)。 抜ける、はそれが勝手に自然に生じる状態のことです(自動詞だから) 例文:「歯を抜く, 歯が抜ける」 ※ 「引く」との違いは 「引いても」、はずれないことがある、しかし、 「抜く」なら、必ずはずれる、 ということです。 なので、「引いても抜けない」という言葉が成立します。 「抜かす」は「本来、入れるべきものを、入れ忘れる」の意味 例文:「1,2,3,5、6... 、あ、いけない、4、抜かしちゃった」 それの自動詞、「抜かる」は、「気づかず、うっかり失敗する」の意味。やや古めかしい語です。 例文:「抜かるなよ (be careful, don't failure!)」 ***2: 【じっくり考えてみます】 「抜かす」という言葉は「抜く」の使役形、「抜かせる」に似ている。 そういう一組は他にもある。たとえば「どく → どかす」「さわぐ → さわがす」「笑う→笑かす(=笑わかす)」など。 使役形とは、「誰かにそれをさせること」、つまり、 どかす -> 「どく」を(誰かに)させる 出させる -> 「出す」を(誰かに)させる やらせる -> 「やる」を(誰かに)させる では、「抜かす」は、「抜く」を誰かにさせること? でも、それがどうして、「本来入れるべきものを、入れ忘れる」という意味になるのか? *** 【抜く→抜かす は、 はぐ → はがす と同じ構造】 他動詞「抜く」から「抜ける」という自動詞が生まれ、それがUターンして、もう一回、「抜かす」他動詞が生まれる。 これは、「はぐ → はげる → はがす」と同じ構造です。 むかしの日本語では自動詞、他動詞、どちらも「抜く」でした。ただし、他動詞なら四段活用、自動詞なら下一段活用。これがちがいです。 しかし、その後、鎌倉時代ぐらいから、動詞の連体形が終止形に使われるようになった。四段活用なら連体形は「抜く」、下一段活用なら「抜ける」。こうして「抜く」と「抜ける」が分かれました。 この「抜ける」から、他動詞「抜かす」が生まれる。なぜ、その必要があったのか? **** なぜ、抜く が 追い越す(surpass) の意味? 「抜く」は、「長い物を引っ張り出す」のほかに「追い越す(surpass?)」の意味があります。 例文: 「昨年まで7位だったが、今年は5人抜いて2位になった」 これが私には長らく謎でした。長い物を引っ張る動作と、後から追いかけて最後は勝つことに、いったいなんの関連があるのかと。 「50メートル競走。ゴール間際で追い抜いて1位になった」 いや、別に走りながら、何かを引き抜いたりしないし。 とりあえず、今は次のように考えています。 << 7位(自分), 6位, 5位、4位、3位、2位、1位 >> この状態で、「6位, 5位、4位、3位、2位」の5人を『引き抜いたら』、 その時は5人が消えるから、自分は自動的に2位に上がる、そういうことかな、と。 << 2位(自分), ○, ○、○、○、○、1位 >> こう考えれば、「1,2,3,5,6。あ、いけない、4、抜かしちゃった(=数え忘れた)」の「抜かす」と同じ構造で解釈できますし。 「出し抜く」という言葉があります。 例文:「他人を出し抜いてでも、何が何でも勝つ」 この出し抜くは「少し卑怯なことをしてでも」という意味合いです。少なくとも正々堂々とはしていない。 じゃあ、「他人を出して抜く」っていったい何なのか? 以下、私の想像(妄想)ですが、 「大地に生えている植物を、引っこ抜く。すると植物は栄養を失い枯れてしまう。そんなふうに他人を活動基盤から引っこ抜いて弱めることを『出し抜く』というのかな」と。 (コメント欄につづく)
December 5, 2019
I'm glad I could help.😊
December 7, 2019
Thank you very much! this was really helpful. :)
December 7, 2019
Here is a research of NHK, https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/169.html According to this, 61% of people say 追い抜く(they don't say 追い抜かす), 37% of people say 追い抜かす(They also say 追い抜く). Generally, other verbs don't have two 他動詞s, but 抜ける(自動詞) has two 他動詞: 抜く/抜かす, the meanings of 抜く/抜かす are different, then I think that separating 追い抜く and 追い抜かす is difficult. In my opinion, 追い抜かす emphasizes a speaker's intention, like "奴の車を追い抜かしてやるぜ" vs. "奴の車を追い抜いてやるぜ(I'll overtake/cut-ahead-in his car.)" in a car race or a game of car race.
December 7, 2019
According to this site, https://goiryoku.net/dashinuku We can find "出し抜く" in two stories of the Kamakura period(1185–1333). There is "終にいだしぬかれにけり" in "十訓抄". There is "義朝はだしぬきけるよな" in the tale of 保元. The meaning of "だしぬく" in the stories is like ”breaking a promise and doing things without permission in order to win something", It's the same as one of the meanings of "出し抜く" nowadays. Here is a sample sentence of the same usage nowadays. 週刊XX が、スクープを出し抜いた。The Weekly XX released the news ahead of all others.
December 7, 2019
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