「ゆがむ」と「ひずむ」はほぼ同じ意味です。
ほぼ同じ意味だから、「歪」という一つの漢字が2つの違う言葉に当てられているのです。
ここで注意してほしいことがあります。
「歪」という字が先にあって、それに「ひずむ」「ゆがむ」という2つの読み方が当てられたのではありません。
「ひずむ」「ゆがむ」という日本語が先にあって、それに、「意味がだいたい一緒だから」という理由で「歪」という漢字が当てられたのです。
ちなみに「歪」には、もう一つ読み方があります。「いびつ」です。
「ゆがみ」「ひずみ」「いびつ」、いずれも「形がおかしくなる、正しくなくなる」ということで3つともだいたい同じ意味です。
日本語への漢字の当て方には大きく2パターンがあります。
***パターン1:一つの日本語に複数の漢字(中国語)
例:とる - 取る、盗る、採る、捕る、獲る、執る、摂る、撮る
「とる」とは本来、「手を使って自分のものにする」の意味です。
これに複数の漢字を当てて、意味を細分化しました。
その他、
「あう - 合う、会う、遭う、逢う」
「こう - 乞う、請う」
「かえる - 変える、代える、換える、替える」
「かえる - 帰る、返る」
などあります。
***パターン2:複数の日本語に一つの漢字(中国語)
例:「ゆがむ」「ひずむ」 - 「歪(ゆが)む」「歪(ひず)む」「歪(いびつ)」
※ パターン1の方が一般的です。
「ゆがむ」と「ひずむ」はほぼ同じ意味です。いずれも自動詞です。
しかし
「ゆがめる」という他動詞が普通に使えるのに対し、
「ひずめる」とうい他動詞は、一応、存在しますが、普通はまず使いません。
ここから類推すると「ひずむ」の方が、「人為的でない。自然に生じること」という意味合いが強いと予測されます。
- 音が歪む(ひずむ)
- 顔が歪む(ゆがむ)
- 事実を歪める(ゆがめる)
- 地殻に歪み(ひずみ)が溜まっている