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「かも知らない」という単語も、「かも知らぬ」「かしら」という形で、一応ある、とは言えます。
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**** 前提:
かもしれない = かも知れない = か + も + 知れ + ない
(知れ = 「知れる」の未然形)
※ Aかもしれない : whether it is A or not is unknown → it could be A
かもしらない = かも知らない = か + も + 知ら + ない
(知ら = 「知る」の未然形
かもしれぬ = かも知れぬ = か + も + 知れ + ぬ
(ぬ = ない)
かもしらぬ = かも知らぬ = か + も + 知ら + ぬ
**** 結論
- 現代日本語を実用的に読み書きするのが目的であれば
→ 「かもしれない」だけ覚えてください。「かも知らない」は忘れて良いです(いまは使いません)。
- 歴史的に見ると:
昔は、「かも知らぬ」「か知らぬ」と言いました。
>先方(さき)は忘れたかも知らぬが此方(こちら)はたしかに日まで覚えて居る、……
――樋口一葉『十三夜』
「か知らぬ」は「かしらん」とも言いました。
昔は男性も使いました(今は使いません)
「かしらん」は「かしら」にもなりました。
これは女性語です。やや昔(30~40年前)の言葉になります。
例:「この服、わたしに似合うかしら」
**** 個人的推測
なぜ「かも知らぬ」が「かも知れない」になったのか不思議です。
「知れない」の元の言葉、「知れる」は、今では「知れたことよ」「言わずと知れた」「気が知れない」のような決まり文句でしか使わない、古い言葉です。
一方、「知らない(知る)」は、普通に使う、ふつうの言葉です。
その意味では、「かも知らない」の方がふつうの言葉といえるわけです。
なのに、なぜ「かも知らない → かも知れない」のように「ふつうの言葉 → 古い言葉」という形で変化したのか?
答はおそらく、「かもしれない」の方が言いやすい(口が動かしやすい)から、ではないかと推測しています。