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Kenji Miyazawa :THE RESTAURANT OF MANY ORDERS #2
02:37
19 Aralık 2022
02:37
19 Aralık 2022
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「どうも腹が空いた。さっきから横っ腹が痛くてたまらないんだ。」 「ぼくもそうだ。もうあんまりあるきたくないな。」 「あるきたくないよ。ああ困ったなあ、何かたべたいなあ。」 「喰たべたいもんだなあ」 二人の紳士は、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云(い)ました。 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒いっけんの西洋造りの家がありました。 そして玄関(げんかん)には 西洋料理店 山猫軒 という札がでていました。 「君、ちょうどいい。ここはこれでなかなか開けてるんだ。入ろうじゃないか」 「おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か食事ができるんだろう」 「もちろんできるさ。看板にそう書いてあるじゃないか」 「はいろうじゃないか。ぼくはもう何か喰べたくて倒れそうなんだ。」 二人は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸(せと)の煉瓦(れんが)で組んで、実に立派なもんです。 そして硝子(がらす)の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮(えんりょ)はありません」 二人はそこで、ひどくよろこんで言(い)ました。 「こいつはどうだ、やっぱり世の中はうまくできてるねえ、きょう一日なんぎしたけれど、こんどはこんないいこともある。このうちは料理店だけれどもただでご馳走(ちそう)するんだぜ。」 「どうもそうらしい。決してご遠慮はありませんというのはその意味だ。」 二人は戸を押おして、なかへ入りました。そこはすぐ廊下(ろうか)になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。 「ことに肥(ふと)ったお方や若いお方は、大歓迎(だいかんげい)いたします」 二人は大歓迎というので、もう大よろこびです。 「君、ぼくらは大歓迎にあたっているのだ。」 「ぼくらは両方兼ねてるから」
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