年をとるとともに記憶力が衰えてきた。
年をとるのにともなって記憶力が衰えてきた。
…この2つの文の間に違いはほとんどありません。同じ意味だと考えていいぐらいです。ただ「年をとるのにともなって」と言うよりは「年をとるにつれて」とか「年をとるにしたがって」とか言うことの方が多いように思います。
「とともに」と「にともなって」のあいだの違いは、「とともに」は同時進行だけど「にともなって」は一歩遅れてついてくるニュアンスを持っていることです。
だから「高校を卒業するとともに私の青春は終わった」という言い方はしても、「高校を卒業するにともなって私の青春は終わった」とは言いません。後の言い方だと青春が終わるのに時間がかかっているので、それが高校を卒業したことと何の関係があるのか分からなくなってしまうからです。
それでは逆に「にともなって」は使えるけど「とともに」は使えない状況を考えてみようとしましたが、これがなかなか難しい。「にともなって」で言えることは、ほとんど「とともに」で代用できます。
「にともなって」の特徴は、「に」の前には名詞しかつかないということです。日常で「にともなって」を一番耳にするのはおそらく天気予報ですが、「前線の北上にともなって各地で雨の被害が出ています」とか「春の到来にともなって花の便りが届き始めました」とか、いずれも「に」の前が「北上」「到来」と名詞になっています。上の例文で「年をとるのにともなって」と「の」をつけたのも、「年をとる」という動詞句を名詞に変えるためです。
「にともなって」とほぼ同じ意味を持つ「につれて」「にしたがって」には、こうした制約はありません。「春の到来につれて」でも「春が来るにつれて」でも、どちらでもOKです。だから例に挙げた中では「にともなって」が一番、使う機会の少ない言い方だと言えます。
…私にベトナム語が分かればもっと分かりやすく説明できたかもしれませんが、ごめんなさい。「かもん!」と「しんちゃお!」しか知りません。納得できないことがあれば、何度でも聞いて下さい。