フランス語を勉強している人の中には「検定や語学試験を受けてみようかな」と考えている人も多いのでしょう。
しかし、フランス語の試験と言っても、その種類は内容やレベル、目的に応じてさまざまあるのをご存知でしょうか。それぞれの語学試験の特徴を詳しく知ることは、自分の目的に合った試験を受験することにつながります。
この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、5つのフランス語の検定や試験について、試験の特徴やレベル・受験メリットなどをまとめて解説します。
今まで知らなかった試験こそが、実はあなたが1番受けるべき試験かもしれません。ぜひ参考にしてください。
フランス語の検定①:仏検(実用フランス語技能検定試験)
まずは、フランス語を勉強していない日本人でも知っている人が多い『仏検』について紹介します。
仏検の特徴
仏検の正式名称は『実用フランス語技能検定試験』と言います。1981年に創設され、40年を超える歴史のある試験です。
文部科学省と在日フランス大使館文化部の後援を受けて実施されており、日本語のフランス語学習者を対象とした、唯一のフランス語試験です。
仏検の試験内容やレベル
仏検には1級から5級のレベルがあり、準2級・準1級を含め全部で7つの級があります。
3〜5級の試験はリーディングとリスニング問題のみで、準2級以上のレベルでは、これらにリスニング問題を加えた1次試験と、スピーキング問題の2次試験に分かれます。
2次試験は、1次試験の合格者のみが受験できる面接試験です。
仏検の上級レベルは難易度が高い一方で、4級や5級などはフランス語初心者でも受験可能な、比較的易しい問題レベルと言えます。
仏検を受けるメリットやオススメの人
仏検の4級や5級は難易度が易しい試験のため、フランス語初心者が最初に受けやすい試験と言えるでしょう。公式問題集なども手に入れやすく、試験対策のしやすさも仏検の特徴です。
大学によっては、単位取得やフランス語圏への交換留学への応募に仏検が有利になることもあるようです。
2013年からは、仏検1級合格者は国家資格である「通訳案内士」の外国語筆記試験(フランス語)が免除されるようになりました。また、日本では多くの人が仏検を知っているため、就職活動でも役立つはずです。
一方で、海外ではあまり知られていない試験であり、海外の大学に進学したい・海外で就職したいといった場合には、ほかのフランス語試験のほうが役立つ場合があります。
以上を踏まえて、仏検は以下のような人にオススメの試験です。
- フランス語の試験を初めて受ける人
- 日本でフランス語能力の証明に使いたい人
- 交換留学や「通訳案内士」試験のために仏検受験が必要な人
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フランス語の検定②:DELF / DALF
次に紹介するのが、『DELF(デルフ/Diplôme dʼétudes en langue française)と DALF(ダルフ/Diplôme approfondi de langue française)』です。
DELF / DALFの特徴
『DELF / DALF』とは、フランス国民教育省(フランスにおいて教育行政を担当する省庁)が認定している唯一の公式フランス語資格です。
一度取得した資格は無期限で有効となり、世界175ヶ国で試験が実施されている、国際的にも認知された試験です。
DELFには、一般的な試験のほかに、対象・テーマ別にさまざまな種類の試験があります。
- DELFジュニア:中等教育を受ける年齢の児童・青少年が対象
- DELFプロ:仕事に関わるテーマや課題が出題される
- DELF Prim:外国語としてのフランス語の初心者であるあらゆる児童(主に小学生)が対象
DELF / DALFの試験内容やレベル
DELF/DALFには、「言語に関する欧州共通基準(CECRL)」という国際基準に則った6つのレベル(A1・A2・B1・B2・C1・C2)があります。
A1〜B2がDELF、C1・C2がDALFと分類されます。
どのレベルもリーディング・ライティング・リスニング・スピーキング(面接試験)の4つで構成されています。各項目25点満点の計100点満点で、合格点は50点以上です。
しかし、5点(C2レベルは10点)を下回った分野がある場合は、総合点が50点を超えていても不合格になります。これらの合格判定基準から見ても、フランス語能力を総合的に判定してくれる試験と言えるでしょう。
DELF / DALFを受けるメリットやオススメの人
DELF/DALFは海外における認知度が高く、フランス語能力の証明書として採用されていることも多くあります。また、一度取得してしまえば一生涯有効なため、資格の失効期限に合わせて再受験する必要がないのもポイントです。
さらに、DELF B2レベル以上を取得していれば、フランス及びフランス語圏の一部の大学に入学する際、語学試験を免除してもらえるメリットもあります。
(大学院への進学の場合は、DALF C1以上の資格が求められると言われています。)
以上を踏まえると、DELF / DALFは以下のような人にオススメです。
- 有効期限のない語学能力証明書が欲しい
- 海外で広く使える語学能力証明書が欲しい
- フランスまたはフランス語圏の大学に進学したい
- フランスまたはフランス語圏で仕事がしたい
フランス語の検定③:TCF(フランス語学力テスト)
次に紹介するのは、『TCF(フランス語学力テスト/ Test de connaissance du français)』です。
TCFの特徴
『TCF』は、DELF/DALFと同じくフランス国民教育省が認定している語学レベルテストです。対象は母国語がフランス語ではない16歳以上の人で、総合的なフランス語学力を評価してくれます。
仏検やDELF/DALFと異なり、TCFには合格・不合格という概念はありません。受験すると、点数に応じて欧州共通基準(CECRL)の6段階のレベル(A1〜C2)のどれに該当するか判定され、公式の証明書を発行してもらえます。
ただし、TCFの成績証明書の有効期限は2年なので注意しましょう。
また、必須試験および文書作成試験をオンラインで受験できる「TCF SO」というタイプもあります。
TCFの試験内容やレベル
TCFの試験は、必須試験と補足試験の2つに分かれます。
全員が受験する必須試験は以下の3分野で構成されています。
- 聴解
- 語彙・文法
- 読解
補足試験は必要に応じて任意で受験でき、口頭表現(※1)と文章作成(※2)の2つがあります。
(※1)口頭表現は面接官との12分間の面談
(※2)文書作成は60分間で3つの課題に答える文書を作成
必須試験はマークシート方式の全76問で構成され、聴解(29問)、語彙・文法(18問)、読解(29問)という配分になっています。699点満点で、試験時間は1時間25分です。
現在のフランス語能力を判定するための試験なので、難易度は目指す点数によります。ただし、不合格がないという点では、仏検やDELF/DALFに比べて受けるハードルは低いでしょう。
TCFを受けるメリットやオススメの人
TCFを受験するメリットは、合格・不合格を気にせず自分のフランス語能力のレベルを測れることです。
また、仏検やDELF/DALFと異なり、TCFを受験すれば、自分のフランス語レベルの証明を手に入れられます。この証明書は、フランスの大学に入学する際の語学能力の証明としても有効です。
開催日程が比較的多く、受験しやすいのに加え、成績証明書も約1ヶ月ほどで受け取れるので、ほかの語学試験に比べてスピーディー。TCF SOを利用すれば、必須試験の結果は試験終了後にすぐ受け取れるのもありがたいです。
以上を踏まえると、以下に該当する人にはTCFの受験をオススメします。
- 合格・不合格を気にせず、自分のフランス語レベルを知りたい
- なるべく早くフランス語の語学能力証明書が必要、結果を早く知りたい
- DELF / DALFの受験レベルを決める判断材料がほしい
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フランス語の検定④:TEF(フランス語能力認定試験)
4つ目に、『TEF(フランス語能力認定試験/Test d’évaluation du français)』を紹介します。
TEFの特徴
『TEF』は、世界90カ国で実施されているフランス語能力認定試験で、パリの商工会議所が実施しています。
16歳以上を対象に、実生活で必要なフランス語の知識やコミュニケーション能力を、0から6の計7つのレベルで評価する試験です。TCF同様、合格・不合格という判定はなく、取得したスコアの有効期限は2年です。
TEFは、JPO派遣制度(※)やフランスの大学への編入試験において、フランス語能力の評価指標として使えます。
(※)若手人材が国連などの国際機関へ就職することを支援する目的で、各国政府の費用負担を条件に、国際機関が派遣した人材を受け入れる制度のこと
また、カナダに移民申請する際のフランス語能力証明として、TEFの中の「TEF Canada」のスコアが用いられています。
TEFの試験内容やレベル
TEFもTCF同様、3つの必須試験と2つの補足試験から成り立っています。
必須試験は、以下の3分野の合計900点満点のスコア方式で評価されます。必須試験はすべてマークシート式です。
- 読解テスト
- リスニングテスト
- 文構成・語句テスト
一方の補足試験は、以下の2つで構成されています。
- 筆記テスト(作文)
- 口頭テスト(面接)
TEFの試験問題は日常生活に関係する内容が中心で、難しい文法知識や読解問題は少ない傾向です。TCFと比べると問題数が多く、試験時間が長いという特徴があります。
TEFを受けるメリットやオススメの人
TEFを受験するメリットは、TCF同様に合格・不合格を気にせずに自分のフランス語能力のレベルを測れることです。もちろん、取得したスコアはフランス語の能力証明として使えます。
一方で、日本においてTEFを受験する機会やメリットは以前に比べ小さくなっていると言えます。
なぜなら、カナダへの移民申請やJPO派遣制度など、これまでTEFが唯一のフランス語能力証明とされていたものでも、TCFやDELF/DALFなどのほかの試験結果で代用できる場合が増えているからです。
以上を踏まえて、以下のような人にはTEFをオススメします。
- 合格・不合格を気にせず、自分のフランス語レベルを知りたい
- TCFに比べて、TEFの問題様式のほうが自分に合っている
- JPO試験やカナダへの移民申請にTEFを使いたい
フランス語の検定⑤:DFP(ビジネスフランス語資格)
最後に紹介するのは、『DFP(ビジネスフランス語資格/Diplômes de français professionnel)』です。
DFPの特徴
TEFと同じパリ商工会議所が実施している『DFP』は、ビジネスフランス語に特化した国際的なフランス語試験です。
ビジネスにおけるフランス語能力を証明するのに役立つのはもちろん、滞在許可証やフランス国籍取得の際に求められるフランス語レベルの証明としても使えるそうです。
現在、日本で定期的に試験は開催されておらず、受験したい場合は実施機関に問い合わせをする必要があります。
DFPの試験内容やレベル
DFPは、申し込みの際に以下の中から自身が受験する部門を選択します。
- ビジネス
- 国際関係
- 観光業・ホテル業
- 保健衛生
試験のレベルはA1〜C1までありますが、部門によっては選択できるレベルが少なくなります。
試験は、リーディング・ライティング・リスニングの合計2時間の試験と、5〜15分ほどの発表を2題行うスピーキングの4分野です。
点数によって合格・不合格が判定され、合格すれば一生涯有効な資格となります。
ビジネスフランス語に特化していることに加えて、業界・部門別に受験する試験のため、ほかの試験とは異なり、より専門的な知識も必要となる試験です。
DFPを受けるメリットやオススメの人
ビジネスフランス語資格という名前のとおり、フランスやフランス語圏で仕事をするのに役立つ試験です。将来就きたい職業の部門を選択して受験すれば、仕事で必要となるフランス語や専門知識などを学ぶきっかけにもなります。
また、滞在許可証やフランス国籍取得の際のフランス語能力の証明として使えることも、この試験のメリットと言えるでしょう。
一方で、日本においてはほかのフランス語試験に比べて情報が少ないため、受験対策がしづらいというハードルがあるのも事実です。
以上を踏まえて、DFPは以下のような人にオススメできます。
- 将来または現在、フランス語を使って仕事をすることを計画している
- ビジネスフランス語を身につけたい
- フランス国籍取得の際の語学能力証明としてDFPを使いたい
フランス語の検定受験対策におすすめなオンライン仏会話
フランス語試験に向けて勉強する中で、行き詰まってしまうこともあるでしょう。特に、スピーキングを独学で身につけるのは困難で、対策しづらいものです。
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まとめ:フランス語の検定は、自分のレベルと目的にあったものを!
この記事では、以下の5つのフランス語検定試験を紹介しました。
- 仏検(実用フランス語技能検定試験)
- DELF/DALF
- TCF(フランス語学力テスト)
- TEF(フランス語能力認定試験)
- DFP(ビジネスフランス語資格)
日本で比較的有効な仏検に対し、海外ではDELF/DALFのほうが知られているなど、試験によって特徴や試験内容・レベルもさまざまです。
ご自身の目的やレベルにあった検定を受験するために、ぜひこの記事を参考にしてください。
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