いざ「スペイン語を勉強しよう!」と思った時、まず何から始めていいのか迷いますよね。
スペイン語は世界で5億人以上の人たちが話している言語ですが、英語や中国語、フランス語などに比べ、日本ではまだまだ学習の機会が少ない言語で、気軽に申し込めるスクールやテキスト、スペイン語会話のサークルを見つけるのも大変です。
その一方、日本の外に目を向けると、スペイン語は中国語に次いで世界第2位の話者数を誇る言語のため、世界中でアプリやニュース、本、テレビ番組など、様々なスペイン語のコンテンツが生み出されています。
そんな様々なスペイン語のエンタメは、リアルなスペイン語を楽しく学ぶのにもってこいの教材です。
スペインの大学院を卒業し、10年以上スペインで暮らす筆者が、スペイン語学習の手がかりとなるステップを解説するとともに、スペイン語学習に役立つ様々なコンテンツを紹介します。
スペイン語の勉強を始める前の準備
勉強を始める前に、まずは必要なものを紹介します。
今はオンラインでも質の高い無料教材にアクセスできるので、たくさんのテキストや参考書を買いそろえる必要はありませんが、辞書と基本の参考書は、スペイン語の専門家によって監修された、信頼のおけるものを選ぶことをお勧めします。
準備①:辞書
現在、様々なスペイン語の辞書が出版されています。
自分に必要な分野の語彙が豊富で、使いやすいものを選ぶのが一番よいのですが、ここではスペイン語の辞書の中で代表的なものを数冊紹介します。
「西和辞典」
山田 善郎 (監修)『現代スペイン語辞典』白水社、1990年(初版)、 1999年(改訂版)
高垣 敏博 (監修)『小学館 西和中辞典』小学館、1990年(初版)、 2007年(改訂版)
「和西辞典」
Carlos Rubio (編集)『クラウン和西辞典』三省堂、2004年
有本 紀明 (編集)『和西辞典』白水社、1979年(初版)、 2000年(改訂版)
上記の辞書は紙の本ですが、これらの辞書を内蔵した電子辞書もあります。
電子辞書は紙の辞書よりも高価になりますが、調べたい単語にすぐにアクセスでき、発音機能によって正しい発音が学べるなど、大きなメリットがあります。
現在、スペイン語のみの電子辞書はありませんが、外国語モデルからスペイン語を追加する形で利用することができます。
準備②:参考書
スペイン語の参考書にも様々なものがあります。
練習問題が多く含まれる実用的なものとは別に、文法の基礎がしっかり説明されている解説書を1冊持っておくとよいでしょう。
上田 博人『スペイン語文法ハンドブック』研究社、2011年
福嶌 教隆『これからはじめる スペイン語入門』 NHK出版、2022年
などのテキストがありますが、ここで紹介したものは一例ですので、中身を見比べて、自分が一番わかりやすいと思う解説のテキストを選んでください。
効率のいいスペイン語の進め方
スペイン語の辞書と、文法の基礎の解説のある参考書を揃えたら、さっそく自分でスペイン語の勉強を進めていきましょう。
進め方①:発音を学ぶ
スペイン語の発音は日本語と同じa、e、i、o、uの5つの母音からなるうえ、基本的に書かれたものをローマ字読みすればいいので、日本人には非常に発音が易しい言語だと言えます。
スペイン語の中で、ローマ字読みと異なる発音をするものに注意すれば、書かれた文章は苦も無く読めるでしょう。
ここでは、ローマ字読みをしないアルファベットの一例を紹介します。
「h」の音は、表記として存在しますが、発音しません。
hのつく音は、ha(ア)、he(エ)、hi(イ)、ho(オ)、hu(ウ)となります。
「j」の音は日本語のハ行に近い音になります。
ja(ハ)、je(へ)、ji(ヒ)、jo(ホ)、ju(フ)と発音します。
またgiとgeも、それぞれgi(ヒ)、ge(へ)の発音になります。
「ll」のようにLが2つ続くものは、スペイン語に独特の文字で、発音はシャもしくはジャになります。
lla(ジャ/シャ)、lle(ジェ/シェ)、lli(ジ/シ)、llo(ジョ/ショ)、llu(ジュ/シュ)と発音します。
また「y」の発音も地域によっては、ジャと発音することがあります。
ya(ジャ/ヤ)、yu(ジュ/ユ)、yo(ジョ/ヨ)と発音します。
進め方②:頻出単語を覚える
語学を勉強するにあたって、語彙を増やすことは、読む、書く、話す、聞くという全ての要素においてとても重要になります。
意味を知っている単語が増えることで、理解の幅が驚くほど広がります。
最初から全ての単語を覚える必要はありませんが、「準備②:参考書」で紹介した参考書や、初級のテキストに出てきた単語のうち、意味を知らないものはメモして覚えておくようにしましょう。
また、その時に単語の性(男性名詞か女性名詞か)ということも意識して覚えると、学習の効率が上がります。
進め方③:基本の文法を学ぶ
単語を覚えるのと並行して、文法の基本を覚えていきましょう。
語学の勉強は奥が深く、勉強すればするほど新しく学ぶことが増えていきますが、スペイン語の基礎的な文法は、他の言語と比べてルールが簡単で、覚えやすい傾向にあります。
まずは英語のbe動詞に当たるestar動詞とser動詞の使い方、および基本的な動詞とそれを用いた例文を学んで、スペイン語の基本的なルールに慣れていきましょう。
【関連記事】スペイン語の文法の基礎をわかりやすく解説!
進め方④:日常会話で使えるフレーズを覚える
初級のスペイン語学習の中で、特に会話を上達させたい場合、フレーズの丸暗記はとても有効です。
日常会話は思いのほか決まった文章で構成されているので、日常会話で使えるフレーズを丸暗記し、その中の単語にバリエーションをくわえるだけで、基本的なレベルの会話には困ることがありません。
参考書の中で紹介された例文を繰り返し声に出して発音し、考えなくても自動的に口が動くように練習しましょう。
そうすれば、いつの間にか「スペイン語をしゃべる口」が出来上がっているはずです。
語彙を増やすには、「進め方②:頻出単語を覚える」で紹介した通り、初級のテキストに出てきた単語を少しずつ覚えていくようにしましょう。
進め方⑤:ネイティブと会話する
「進め方④:日常会話で使えるフレーズを覚える」で基本的なフレーズをいくつか暗記することができたら、次はネイティブとの会話にチャレンジしてみましょう。
実際の会話は、タイミングや相手とのコミュニケーションに基づくふさわしい言い回しなど、生きたスペイン語を学べる絶好の機会です。
直接ネイティブと会話ができる語学交流のカフェやインテルカンビオ(個人もしくはグループで日本語とスペイン語ネイティブが交流する集まり)などがありますが、身近にそう言ったイベントが無い場合、オンラインの交流会に参加する手もあります。
オンラインでマンツーマンでスペイン語レッスンをしたいなら、italkiがおすすめです。
教師の資格を持ったプロの先生からしっかり教えてくれます。
1回単位で受講できるので、空き時間で気軽にレッスンを受けることができます。
スペイン語の勉強におすすめの教材
今日はインターネットを通じて様々な外国語のコンテンツが手に入りやすくなっています。
ここでは、スペイン語を楽しく勉強するにあたって、役に立つスペイン語の教材を紹介します。
教材①:アプリ
スペイン語の勉強のサポートに役立つアプリやwebページをいくつか紹介します。
それぞれ無料のコースがありますので、ゲーム感覚で語彙を増やしたり、文法や会話、発音の練習が可能です。
Duolingo
Duolingoは英語をはじめとする様々な言語を勉強できるアプリですが、スペイン語のコースも充実しています。
特に音声認識によるリスニングやスピーキングの練習問題もあり、問題をクリアするごとにレベルが上がってアクセスできるジャンルが増えていくので、ゲーム感覚で楽しく学習する手助けになります。
Babbel
Babbelは日本語に対応しておらず、英語-スペイン語で学習する必要がありますが、文法の項目にあわせて練習問題があるので、参考書とあわせて学習のサポートに用いると便利です。
Lang-8
Lang-8は自分が書いた文章を、他のネイティブスピーカーが添削してくれるサイトです。
ライティングの練習をしているとき、「文章を書いてみたものの、それが正しいかわからない」という悩みが出てくるかと思いますが、そんな時にこのサイトに文章をアップすると、ネイティブに添削してもらうことができ、参考書を見るだけでは分からなかった細かいニュアンスや、実践的な表現を学ぶことができます。
教材②:映画やドラマ
生のスペイン語やリアルな言い回しを学ぶには、映画やドラマを観るのも役に立ちます。
『ボルベール〈帰郷〉』や『トーク・トゥ・ハー』を手掛けたペドロ・アルモドバル、『オープン・ユア・アイズ』、『海を飛ぶ夢』のアレハンドロ・アメナーバル、『あなたになら言える秘密のこと』のイザベル・コイシェなど、様々なスペイン語圏出身の監督によって、スペイン語の映画が撮影されていますので、吹き替えではなく字幕版で観て、耳を慣らしてみましょう。
Todas las series completas de RTVE para ver online
また、こちらのスペイン放送協会のホームページでは、スペインの様々なドラマシリーズを登録なしで視聴することができます。
ぜひお気に入りのシリーズを見つけて、生のスペイン語に耳を慣らしていきましょう。
教材③:スペイン語で書かれた本
語学の勉強に本を読むのも非常に有効です。
最初は子供向けの短い話を読んで、慣れてきたら長めの小説にチャレンジしてみましょう。
スペイン国内だけでなく、海外でも広く読まれているスペイン語の小説は以下の様な作品があります。
Carlos Ruiz Zafón『La Sombra del Viento』(邦題『風の影』)
Isabel Allende『La casa de los espíritus』(邦題『精霊たちの家』)
Dolores Redondo『El guardián invisible』(邦題『バサジャウンの影』)
これらの作品は日本語訳も出版されていますので、オリジナルと日本語訳をあわせて読んでも勉強になります。
また、スペイン語で書かれた小説だけでなく、日本の文学作品をスペイン語翻訳したものも、スペイン語の表現を学ぶ上で、非常に役に立ちます。
おすすめのスペイン語の勉強法
次に、紹介したスペイン語のコンテンツや教材を使って、効率よく勉強を進める方法を紹介したいと思います。
勉強法①:スペイン語の映画やアニメ、動画を視聴する
スペイン語の映画や動画を観る場合、最初は耳を慣らすために何となく流し見してもいいのですが、少し聞き取れるようになってきたら、スペイン語音声にスペイン語字幕を付けて、視聴してみましょう。
そうすれば聞き取れなかった部分を確認することができ、言い回しなどさらに勉強になります。
勉強法②:スペイン語の歌を聴く
スペイン語に親しむためには、スペイン語の歌を聞くことも有効です。
近年は、アメリカでもレゲトンなどのラテンミュージックをベースにした音楽が流行し、ビルボードのヒットチャートにもスペイン語の曲が並ぶようになってきました。
お気に入りの歌手を見つけたら、音楽を聴いて、次に自分で歌えるように練習してみましょう。
リズムに合わせて歌詞を覚えて行けば、いつの間にか日常会話にも役立つ言い回しが身についているはずです。
勉強法③:スペイン語の本を読む
スペイン語の本を読むことは、語学の上達に役立ちます。最初は知らない単語が多く出てくるので、どうしても辞書を引きながら読むことになると思います。
ですので、早く読める短い話からチャレンジしてみましょう。
スペイン語で書かれたマンガなども、非常に読みやすいのでお勧めです。
ある程度読めるようになれば、あまり辞書を引かずに文章の流れから単語を類推する練習をしながら読んでみましょう。
勉強法④:スペイン語で日記を書く
文章のライティングの練習に、スペイン語で日記を書くことは有効です。
1日1行だけでもいいので、自分でスペイン語の文章を書いてみましょう。
オンラインで文章を書き、「教材①:アプリ」で紹介したようなアプリで添削してもらうのも、ライティングの上達に役に立つでしょう。
勉強法⑤:スペイン語が勉強できるアプリを使う
「教材①:アプリ」で紹介したアプリは、オンラインで練習問題にチャレンジでき、その場で正誤を判定してくれる点も学習の助けになります。
アプリは実践的な問題が多いので、詳しい文法解説などは参考書と併用して学習することが効果的です。
特に、文法・会話・語彙・発音のそれぞれの練習問題があり、日本語での詳しい解説もある東京外語大学の言語モジュールは、それぞれ苦手な部分の勉強にとても役に立ちます。
まとめ
いまは独学でも様々な方法でスペイン語の勉強をする方法が存在します。
しかし、語学の勉強に一番のポイントは少しずつでも毎日続けることです。
無理をせず、自分にあった方法で、1日5分だけでもいいのでスペイン語に触れる時間を作ってみましょう。
そうすれば、1年後にはきっと思った以上にスペイン語が分かるようになっているはずです。
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