英語学習者にとって文法は複雑なものと思われがちですが、実はあるコツさえ押さえてしまえば簡単に理解できるようになります。
そのコツとは、「5文型」と呼ばれる単語の順番のパターンを覚えること。
この記事では米大で学士号を取得した筆者が英語文法における5文型の基本を紹介し、それぞれの文型を覚える方法も紹介します。
英語文法の順番「5文型」とは
「5文型」とは、英語文法において文中の単語の順番を簡単に表すために作られたものです。
- S(主語)
- V(動詞
- O(目的語)
- C(補語)
上記4つの要素から文型は構成されます。
「M(修飾語)」が加わることもありますが、文型への直接の影響はないので、上記の4つをまずは押さえましょう。
これらの要素を組み合わせることで、5つの基本的な文型が形成されます。これが文法の5文型です。
この5文型は英語の文章を構成する上で最も基本的な文法の順番で、これを理解することで英文の読解力が向上したり、自分で英文をスムーズに構成できるようになります。
英語文法の順番「5文型」の4+1つの要素
「5文型」は4つの要素「S(主語)」「V(動詞)」「O(目的語)」「C(補語)」と、任意で使用することができる「M(修飾語)」から成ります。
英文において、これらの要素の順番が5種類のパターンに分けられ、それが文法の「5文型」と呼ばれています。
S:主語
「S」は「Subject」の略で、「主語」を表します。
主語は「何が」「誰が」など、文章の主たる人物や物、または概念を表します。
日本語では主語がない文章もよくありますが、英語では主語は基本的に文中に入っています。
英文では主語が文頭にくることが多いので、見つけやすい要素と言えるでしょう。
V:動詞
「V」は「Verb」の略で、「動詞」を表します。
動詞はbe動詞と一般動詞の2種類に分けられます。
動詞は文章の意味を与える役割を果たし、「主語が何をするか」または「何が起こっているか」を示します。
O:目的
「O」は「Object」の略で、「目的語」を表します。
目的語は動作の対象・動詞の働きを受けるものを表します。
例えば、「I see a dog.」(私は犬を見る)という文章では、「dog」が目的語です。
この文章ではdogという目的語が、「私(主語)」が具体的に何を「見る(動詞)」のか、動詞の対象をはっきりさせる役割を果たしています。
C:補語
「C」は「Complement」の略で、「補語」を表します。
補語は動詞の意味を補完するものを表します。
言い換えると、主語や目的語の状態を示すということです。
例えば、「I feel happy」(私は幸せだと感じる)という文章では、「happy」が補語にあたります。
この文章において補語であるhappy(幸せ)は「私(主語)」が具体的にどう「感じる(動詞)」のか補っています。補語になることができるのは、名詞と形容詞のみです。
M:修飾語
「M」は「Modifier」の略で、「修飾語」を表します。
修飾語は主語・動詞・目的語・補語の4要素に分けられない単語で、文章に具体性を与える働きをします。
以下で、1. 修飾語なしの文章と、2. 修飾語ありの文章を比較してみましょう。
- This is a computer. (これはコンピューターです)
- This is a computer made in China.(これは中国で作られたコンピューターです)
2.の文章では、の部分が修飾語となっており、1.の文章により具体性を持たせる働きをしています。
英語文法の順番「5文型」の基本
ここからは上記で説明した4要素によって構成される、文法の語順の代表的なパターン「5文型」をそれぞれ詳しく解説していきます。
5文型は、以下の5つに分けれます。
- <第1文型:SV>
- <第2文型:SVC>
- <第3文型:SVO>
- <第4文型:SVOO>
- <第5文型:SVOC>
語はこの5文型と「M(修飾語)」で構成されます。
第1文型:SV
第1文型は「S(主語) + V(動詞)」という順番を持つ文章のことを指します。
主語は文章の主題を表し、動詞は主語の行動や存在の状態を説明します。
つまり「S(主語)がV(動詞)する」という文章の構造です。
これは英語の中で最もシンプルな文型で、基本的な文を表現するために使われます。
注意すべきなのは、第1文型のV(動詞)は目的語を必要としない動詞である「自動詞」しか入らないということです。(自動詞の例:cry, smile, speak, work など)
【第1文型SV:例】
- I ate. (私は食べた)
- She drives. (彼女は運転する)
- I work at the restaurant. *(私はレストランで働く)
*この文章におけるは修飾語となる。
★第1文型の見分け方:V(動詞)が自動詞である、動詞の直後に前置詞がくる など
第2文型:SVC
第2文型は「S(主語)+ V(動詞)+ C(補語)」という文章の構成で、主語が具体的に何をするのかを説明する際や、主語の詳細な状態を表すときなどによく使われます。
be動詞が使われる文章の多くが第2文型にあたり、補語は動詞に対する補足をすることで主語がどのような状態にあるのかを表現します。
第2文型を簡単に見分ける方法は、S(主語)とC(補語)に=(イコール)の関係が成り立っているかをチェックすることです。
【第2文型SVC:例】
- I am a doctor. (私は医者です)※doctor が補語
- She feels sad. (彼女は悲しく感じている)※sad が補語
- The musical was fun.(ミュージカルは楽しかった)※fun が補語
上記の例文全てに「S=C」が成り立っていることがわかります。
このように、SVC文型を使うことで主語と動詞の関係により明確な情報を与えることができます。
★第2文型の見分け方:「S=C」の関係、be動詞の文、動詞の直後に形容詞か名詞がくる など
第3文型:SVO
第3文型は「S(主語)+ V(動詞)+ O(目的語)」という構造を持つ文章です。
この文型は主語が何をするのかを目的語によって明確にします。
また、第3文型のVには目的語を必要とする動詞「他動詞」しか入りません。(他動詞の例:have, follow, help, answer など)
「S=C」の関係がある第2文型と対照的に、第3文型はS(主語)とO(目的語)が≠(ノットイコール)の関係にあります。
【第3文型SVO:例】
- She helped me. (彼女が私を助けてくれた)※me が目的語
- We have sandwiches.(私たちはサンドイッチを持っている)※sandwiches が目的語
- I love you.(私はあなたを愛している)※you が目的語
上記の例文全てに「S≠O」が成り立っていることがわかります。
このように、SVO文型を使うことで、主語に付随する動詞の目的をより明確にすることができます。
★第3文型の見分け方:Vが他動詞である、「S≠O」の関係 など
第4文型:SVOO
第4文型は「S(主語) + V(動詞) + O(目的語1) + O(目的語2)」という文章の構造です。
第3文型にもう一つ目的語が加わっているだけなので、文型の性質も第3文型に似ていますが、第4文型は1つ目の目的語に対してより詳細な情報が必要な時に使われます。
【第4文型SVOO:例】
- He bought me flowers. (彼が私に花を買ってくれた)※me が目的語1・flowers が目的語2
- I give my daughter 10 dollars per month. (私は娘に毎月10ドルあげる)※my daughter が目的語1・10 dollars が目的語2
- She taught me English.(彼女が私に英語を教えてくれた)※me が目的語1・English が目的語2
第4文型で使われる動詞は限られています。(第4文型でよく使われる動詞:buy, give, send, teach, cook, tell, など)
★第4文型の見分け方:Vが他動詞である、動詞の直後に名詞が2つくる、第4文型の特徴的な動詞 など
第5文型:SVOC
第5文型は「S(主語) + V(動詞) + O(目的語) + C(補語)」という文章の構造です。
第3文型SVOの文章にさらに補語を加え、文章により多くの情報を与えています。
第5文型の特徴としては、 O(目的語)とC(補語)が=(イコール)の関係で結ばれているという点です。
【第5文型SVOC:例】
- I like my room clean.(私は部屋が綺麗なのが好きです)※my room が目的語・clean が補語
- This weather makes me happy.(この天気が私を幸せにします)※me が目的語・happy が補語
- Everyone calls him Rocky.(みんなは彼のことをロッキーと呼びます)※him が目的語・Rocky が補語
「O=C」の関係が成り立っていることが分かりますね。
★第5文型の見分け方:Vが他動詞である、動詞の直後に「名詞+名詞」または「名詞+形容詞」がくる、「O=C」の関係 など
英語文法の順番「5文型」の覚え方
5文型をそれぞれ詳しく解説しましたが、覚えるには少し複雑だと感じる方も少なくないのではないでしょうか。
ここからは文法における単語の順番、5文型をどうすれば効率的に覚えられるのか、そのおすすめ勉強法を紹介します。
覚え方①:穴埋め問題を解く
穴埋め問題は、空欄に単語を当てはめることで文章を完成させるトレーニング方法です。
文章の構成要素(主語、動詞、目的語、補語、修飾語)から、空欄に適した言葉を当てはめていく形式で問題を解いていきます。
穴埋め問題の例:
I am going ( ) school.
私は学校に通っています。
答え(空欄に当てはまる単語)→to
※第1文型
IELTSなどのテストや受験問題でもよく出される問題形式で、熟語や文構造を理解していないと正しく答えられないので、語順の型である5文型を覚えるには適した勉強方法です。
「主語と述語を与えられたときに、どのような形で補語を入れるのか」などと考えていくことで、5文型の順番を直感的に把握できるようにする練習にもなります。
覚え方②:並び替え問題に取り組む
並び替え問題は、文章の構成要素(主語、動詞、目的語、補語、修飾語)を与えられ、それと日本語訳をもとに自分で文章を作成する問題のことです。
この方法では、与えられた単語を5文型に当てはめて文章を構成することにより、5文型の順番を覚えることができます。
例えば、主語、動詞、補語を与えられたときに「SVO」の形式で文章を作成するなど、5文型に基づいた文章構成を実践的に練習することで、英語の語順感覚が身についていきます。
並び替え問題の例:
【 me, boyfriend, flowers, my, gave】
彼氏が私に花をくれました。
答え→My boyfriend gave me flowers.
※第4文型
覚え方③:短い例文をたくさん暗記する
短い例文をたくさん暗記することも、5文型の順番を覚えるのに効果的です。
第1文型から第5文型までそれぞれいくつかの例文を暗記することで、その文型の特徴や語感、傾向がつかめ、感覚的に5文型を覚えることができます。
短い例文:
【第1文型】She laughed.
【第2文型】He gets mad at me.
【第3文型】I have homework.
【第4文型】My mother taught me English.
【第5文型】I keep my room clean.
短い例文をたくさん覚えておけば、それを応用して別の文章を構成できるようになるので、文法の5文型の勉強法としては非常におすすめです。
例文を暗記する際には、繰り返し聞いたり、読んだり、書いたりするのが大切で、反復練習することで頭に定着しやすくなります。
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この穴埋めクイイズを解いていくことで、効率的に5文型を覚えることができます。
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まとめ
英語の文法を学習するにあたり、必ず押さえておくべき「5文型」についてその基本と覚え方を解説しました。
- 第1文型:「S(主語) + V(動詞)」
- 第2文型:「S(主語)+ V(動詞)+ C(補語)」
- 第3文型:「S(主語)+ V(動詞)+ O(目的語)」
- 第4文型:「S(主語) + V(動詞) + O(目的語1) + O(目的語2)」
- 第5文型:「S(主語) + V(動詞) + O(目的語) + C(補語)」
5文型を覚え英文の語順を身につければ、自然に他の文法項目も理解しやすくなっていきます。英語文法を勉強するときは、この5文型を意識するようにしてみてください。