語学学習でもっとも大切なのが、単語と基礎文法です。単語と基本的な文法がわかれば文章を作ることができ、相手と意思疎通ができます。
韓国語の文法に関して、勉強してもなかなか覚えられなくて苦労している人もいるのではないでしょうか。
この記事では、独学で韓国語能力試験(TOPIK)6級に合格し、その後韓国に現地就職した筆者が、初心者が覚えるべき韓国語の基礎文法を解説します。
基礎をしっかりと学んでおけば、その後の学習がぐんと楽になるので、ぜひ参考にしてください。
韓国語の文法は日本語と似ている
韓国語が「日本人にとって学びやすい言語」と呼ばれているのをご存知でしょうか。学びやすい言語といわれる理由は、大きく分けて以下の2つです。
- 語順がほぼ同じ
- 敬語や助詞の性質が似ている
語順がほぼ同じ
韓国語では、SOV語順という日本語と同じ語順が使われています。SOV語順とは、主語→目的語→動詞の順で作られる文法のことです。
例:
【私は パンを 食べます(主語-目的語-動詞)】
저는 빵을 먹습니다.(主語-目的語-動詞)
【私は 学校に 行きます(主語-目的語-動詞)】
저는 학교에 갑니다(主語-目的語-動詞)
語順が同じ場合、単語を知っているほど簡単に文章が作れるので、韓国語は日本人にとって学びやすい言語だといえます。
敬語や助詞の性質が似ている
後述しますが、韓国語にも日本語と同様に助詞が存在します。
多少のルールはあるものの、根本的な助詞の性質は同じであるため、初心者でもすぐに文章を作れます。
また、目上の人や友人、家族など、相手によって敬語とタメ口を使い分けるのも日本語と韓国語の共通点です。
使い分けの基準が日本語と似ているのも、学びやすいといわれる理由のひとつでしょう。
韓国語初心者がまず覚えるべき基礎文法5選【入門編】
韓国語を習いたての初心者がまず押さえたい文法は下記の5つです。
- 助詞
- ハムニダ体・へヨ体・パンマル
- 数詞
- 疑問文
- 否定文
基礎文法①:助詞
助詞とは、語句と語句の関係性を示す際や、語句をつなぐときなどに使われる品詞の一種です。
日本語の「〜は」「〜が」「〜の」「〜を」などにあたります。
韓国語にも日本語同様に助詞が存在します。下表がその一例です。
助詞 | パッチム無 | パッチム有 |
~は | 는(ヌン) | 은(ウン) |
~を | 를(ルル) | 을(ウル) |
~が | 가(ガ) | 이(イ) |
~で(手段) | 로(ロ) | 으로(ウロ) |
~に(場所) | 에(エ) | |
~で(場所) | 에서(エソ) | |
~の | 의(エ) |
日本語と異なるのは、ハングル特有の子音「パッチム」の有無で使用する助詞が変わる点です。
例:
-パッチム無
【私は】
저는(チョヌン)
-パッチム有
【明日は】
내일은(ネイルン)
日本語にはない概念ですが、意外とすぐに慣れるので、繰り返し文章を作る練習をしましょう。
【関連記事】韓国語の頻出助詞22選を例文つきで解説!似ている助詞の使い分け方も紹介
基礎文法②:ハムニダ体・へヨ体・パンマル
ハムニダ体とへヨ体は敬語で、ハムニダ体のほうがより丁寧でかしこまった言い方です。パンマルは、いわゆるタメ口で友人など身近な人に使います。
ハムニダ体は、パッチムのある用言に「습니다(スムニダ)」、ない用言には「ㅂ니다(ムニダ)」をつけて作ります。
例:
【食べる】
먹다(モクタ)
↓
【食べます】
먹습니다(モクスムニダ)
へヨ体は、動詞や形容詞の語幹に「아요(アヨ)」もしくは「어요(オヨ)」をつけて作ります。
例:
【食べます】
먹어요(モゴヨ)
パンマルの作り方は、へヨ体から요(ヨ)を取るだけです。
例:
【食べる】
먹어(モゴ)
ハムニダ体・へヨ体・パンマルは、韓国語を使う上で欠かせない基本的な活用です。
基礎文法③:数詞
韓国語の数詞には、「漢数詞」と「固有数詞」の2種類があります。
数字 | 漢数詞 | 固有数詞 |
1 | 일(イル) | 하나(ハナ) |
2 | 이(イ) | 둘(トゥル) |
3 | 삼(サム) | 셋(セ) |
4 | 사(サ) | 넷(ネッ) |
5 | 오(オ) | 다섯(タソッ) |
6 | 육(ユク) | 여섯(ソヨッ) |
7 | 칠(チル) | 일곱(イルゴプ) |
8 | 팔(パル) | 여덟(ヨドル) |
9 | 구(ク) | 아홉(アホプ) |
10 | 십(シプ) | 열(ヨル) |
「漢数詞」は日本語の「いち、に、さん」にあたる数え方で価格や日付に使います。
一方、「固有数詞」は日本語でいう「ひとつ、ふたつ、みっつ」のような数え方で年齢や物の数に使われています。
基礎文法④:疑問文
以下は、韓国語の疑問文に使われる代表的な疑問詞6種類です。
いつ | 언제(オンジェ) |
どこ | 어디(オディ) |
誰 | 누구(ヌグ) |
なに | 무엇(ムオッ) |
どうやって | 어떻게(オットッケ) |
なぜ | 왜(ウェ) |
上記の疑問詞にハムニダ体・へヨ体・パンマルの疑問文を組み合わせれば、簡単に誰かに質問できます。
ちなみに、ヘヨ体とパンマルの疑問文は、最後に「?」をつけるだけ、ハムニダ体は語尾の다を「까?」に変えるだけです。
例:
【いつご飯を食べますか?】
-へヨ体
언제 밥을 먹어요?(オンジェバブルモゴヨ?)
-パンマル
언제 밥을 먹어?(オンジェバブルモゴ?)
-ハムニダ体
언제 밥을 먹습니까?(オンジェバブルモクスムニッカ?)
疑問文が作れると質問ができるようになるので、繰り返し練習してみましょう。
基礎文法⑤:否定文
韓国語の否定文は、下記の3種類です。
- 名詞+가/이 아니다(ガ/イ アニダ)
- 안(アン)+動詞・形容詞
- 動詞・形容詞+지 않다(チ アンタ)
名詞の否定文は、名詞にパッチムがなければ「가 아니다(ガ アニダ)」、あれば「이 아니다(イ アニダ)」を使います。
例:
-パッチム無
【猫じゃない】
고양이가 아니다(コヤンイガアニダ)
-パッチム有
【日曜日じゃない】
일요일이 아니다(イリョイリアニダ)
動詞・形容詞の否定形は、「안(アン)+動詞・形容詞」と「動詞・形容詞+지 않다(チ アンタ)」の2種類があります。
例:
-안+動詞・形容詞
【食べない】
안 먹다(アンモクタ)
-動詞・形容詞+지 않다
【食べない】
먹지 않다(モクチアンタ)
ちなみに、動詞・形容詞+지 않다(チ アンタ)はかしこまった表現、안(アン)+動詞・形容詞はより口語的な表現という違いがあります。
韓国語初心者がまず覚えるべき基礎文法4選【初級編】
入門編の文法を覚えられたら、次は下記の4つの文法を覚えましょう。
- 不規則用言の活用
- 接続表現
- 終結表現
- 敬語
基礎文法①:不規則用言の活用
韓国語の動詞や形容詞の活用には、ルールがあります。
たとえば、ヘヨ体は下記のように活用します。
語幹の母音がㅏ、ㅗの場合
語幹+아요
語幹の母音がㅏ、ㅗ以外の場合
語幹+어요
하다で終わる場合
語幹+해요
なかには、上記の規則に反した活用をする用言があります。
例:
-原形
【かわいい】
귀엽다(キヨプタ)
-ヘヨ体
귀여워요(キヨウォ)
この場合、パッチムのㅂが워(ウォ)に変化しています。
不規則用言の活用は10種類近くあり、韓国語学習者が最初につまずきやすいポイントなので、何度も復習して確実に覚えましょう。
基礎文法②:接続表現
韓国にも文章を繋ぐための接続表現が存在します。
下記がよく使う接続表現の一例です。
日本語 | 韓国語 |
だから、それで | 그래서 |
それなら | 그러면 |
だけど、それでも | 그래도 |
そして、それから、それと | 그리고 |
また | 또 |
それとも | 아니면 |
接続表現の入る位置は、日本語と同じです
ほかにも種類はありますが、接続表現は暗記するだけなので、毎日コツコツと覚えていきましょう。
基礎文法③:終結表現
終結表現とは、文章の終結に使う表現です。
感情を乗せたり、表現にバリエーションを持たせたりするには、できるだけたくさんの終結表現を覚える必要があります。
例えば、ヘヨ体の「가요(カヨ)」は、「行きます」という意味ですが、未来の意志を表す表現「ㄹ/을게요」に変えた「갈게요(カルケヨ)」にすると「行きますね」と、より自分の意思を強調できます。
自分の意思や感情、推測などをプラスできる終結表現のストックは、リズム感のある会話をするために欠かせない文法のひとつです。
基礎文法④:敬語
韓国語の敬語にも、相手を高める尊敬語や自分をへりくだる表現の謙譲語、です・ます調の丁寧語があります。
例:
-尊敬語
【食べる】
먹다(モクタ)
↓
【召し上がる】
드시다(トゥシダ)
-謙譲語
【あげる】
주다(ジュダ)
↓
【差し上げる】
드리다(トゥリダ)
ハムニダ体・へヨ体は丁寧語にあたります。
尊敬語や謙譲語、丁寧語は日本語にもある概念なので、目上の人と柔軟にコミュニケーションが取れるように習得しましょう。
韓国語初心者におすすめの文法参考書
韓国語初心者が正しい文法を学ぶには、テキストを使った学習が必須です。
実際に筆者が試験前に使用したおすすめのテキストを紹介します。
参考書①:ゼロからしっかり学べる韓国語[文法]トレーニング
「ゼロからしっかり学べる!」とあるように、韓国語を勉強したことがない初心者向けの参考書です。
書き込み式の練習問題があるので、自分の頭で考えながら覚えられます。
基礎を固めたい初心者の方におすすめの一冊です。
参考書②:CD付き 文法から学べる韓国語 初級パーフェクト版
初心者用の基礎文法が、図解や例文を使ってわかりやすくまとめられています。
ゆっくりスピードとナチュラルスピード2種類の音声が入ったCD付きなので、耳からもしっかり覚えたい人におすすめです。
韓国語の文法を学べるおすすめアプリ
文法は使ってこそ身につくものです。とはいっても、日常生活で韓国語を使う機会はほとんどありません。
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まとめ:韓国語の基礎文法は覚えやすい
この記事では、初心者が覚えるべき韓国語の基礎文法を解説しました。
韓国語初心者がまず覚えるべき基礎文法は、下記の9つです。
- 助詞
- ハムニダ体・へヨ体・パンマル
- 数詞
- 疑問文
- 否定文
- 不規則用言の活用
- 接続表現
- 終結表現
- 敬語
日本語と韓国語は、非常に似ている言語です。
基礎文法を覚えれば、すぐに簡単な会話ができるようになるので、ぜひ継続して学習していきましょう。
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