韓国語の学習で重要なことの1つが、助詞を使いこなせるようになることです。
日本語と韓国語には文法的な共通点が多く、助詞があることもその1つです。しかし私たち日本人は、どの言葉が助詞であるか、それぞれどのような意味を持つかなどを意識せずに日本語を話しています。
一方、外国語として韓国語を勉強する場合は、助詞という品詞に対して抵抗を感じないとしても、なかなか覚えられずに苦労している人もいるでしょう。
この記事では、韓国語学習歴が10年以上で日韓翻訳業務経験を持つ筆者が、初心者が覚えるべき韓国語の助詞の種類を解説します。
助詞を覚えるとその後の学習の効率がぐんと上がるので、ぜひ参考にしてください。
※記事中のカタカナ表記については、あくまで韓国語の読み方の目安とお考えください。
韓国語の主な助詞の一覧表
韓国語の主な助詞について一覧表でざっと見てみましょう。
助詞が2つ並んでいるものについては、前にある単語が母音で終わる場合は左側、子音(パッチム)で終わる場合は右側を使います。
例外として、「로(ウロ)」と「로서(ウロソ)」の前にある単語が「ㄹパッチムで終わる」場合は「으로 / 으로서」ではなく「로 / 로서」を使います。
助詞 | 読み方(目安) | 意味 |
는 / 은 | ヌン / ウン | ~は (主題・対比・強調) |
도 | ド | ~も (追加・羅列・譲歩) |
의 | エ | ~の (所有・所属) |
가 / 이 | ガ / イ | ~が (主語)~で(ない)(否定の対象)~に(なる)(変化の対象) |
에 | エ | ~に (場所・方向・時間) |
에게 | エゲ | ~に (対象 [人]) |
한테 | ハンテ | ~に (에게の会話体) |
에게서 | エゲソ | ~から (起点 [人]) |
한테서 | ハンテソ | ~から (에게서の会話体) |
처럼 | チョロム | ~のように (比較・例示) |
보다 | ボダ | ~より (比較の対象) |
부터 | ブト | ~から (時間の起点) |
까지 | カジ | ~まで (時間的・空間的限度) |
와 / 과 | ワ / グァ | ~と (羅列・動作の共同 者・比較の対象) |
를 / 을 | ル / ウル | ~を (目的) |
에서 | エソ | ~で (場所)~から (出発点) |
로 / 으로 | ロ / ウロ | ~へ / ~に (方向)~で (手段・理由・原因・ 変化・様態)~として (資格・身分) |
나 / 이나 | ナ / イナ | ~か (選択)~や (選択)~でも (譲歩) |
라고 | ラゴ | ~と (引用) |
야 / 이야 | ヤ / イヤ | ~は (強調)~こそ (強調)~だけは (強調) |
밖에 | パケ | ~しか ( [否定文で] 限定) |
든지 | ドゥンジ | ~でも~であれ (許容の意思) |
韓国語の助詞は例文で覚えよう
韓国語でよく使われる22の助詞について、例文で具体的に解説します。
助詞を覚える際は、例文と一緒に覚えるのがおすすめです。なお、一つの助詞が複数の意味を持つ場合はそれぞれの例文を挙げているので参考にしてください。
는 / 은 (~は)
・主題 는
【私は学生です。】
저는 학생입니다. (チョヌン ハクセンイムニダ)
・主題 은
【これはスマートウォッチです。】
이것은 스마트 워치입니다. (イゴスン スマトゥウォチイムニダ)
・対比
【ソウルは寒く、済州島は暖かい。】
서울은 춥고 제주도는 따뜻하다. (ソウルン チュプコ チェジュドヌン タトゥッタダ)
・強調
【結果はすぐにはわからない。】
결과는 당장은 알 수 없다. (キョルグァヌン タンジャンウン アルス オプタ)
도 (~も・~でも)
・追加
【彼女も来た。】
그녀도 왔다. (クニョド ワッタ)
・羅列
【電車は行きも帰りも混んでいた。】
전철은 오가는 길도 돌아오는 길도 흔잡했다. (チョンチャヌン オガヌン キルド トラオヌン キルド フンチャクヘッタ)
・譲歩
【通路側の席でもいいです。】
통로 쪽 좌석 도 괜찮습니다. (トンロ チョク チャソクド ケンチャンスムニダ)
의 (~の)
・所有
【これはあなたのスマホですか?】
이게 당신의 스마트폰인가요? (イゲ タンシエ スマトゥポンインガヨ?)
・所属
【今日は娘の誕生日です。】
오늘은 딸의 셍일입니다. (オヌルン タレ センイルイムニダ)
가 / 이(~が・~で[ない]・~に[なる] )
・主語[가]
【雨が止んだ。】
비가 그쳤다. (ピガ クチョッタ)
・主語[이]
【雲が出てきた。】
구름이 나왔다. (クルミ ナワッタ)
・否定の対象
【私は学生ではありません。】
저는 학생이 아닙니다. (チョヌン ハクセニ アニムニダ)
・変化の対象
【彼は医者になった。】
그는 의사가 되었다. (クヌン ウィサガ ティオッタ)
에 (~に)
・場所
【今は家にいます。】
지금은 집에 있습니다. (チグムン チベ イッスムニダ)
・方向
【韓国に行きたい。】
한국에 가고 싶어요. (ハングゲ カゴ シッポヨ)
・時間
【何時に会社を出ますか?】
몇 시에 퇴근하시나요? (ミョッシエ ティグンハシナヨ)
에게 (~に)
・対象[人]
【友達に韓国旅行のお土産を買った。】
친구에게 한국 여행 기념품을 샀다. (チングエゲ ハングク ヨヘン キニョンプムル サッタ)
한테 (에게の会話体)
・対象[人]
【その写真、私にも見せて。】
그 사진 나한테도 보여줘. (ク サジン ナハンテド ポヨジョ)
에게서 (~から)
・起点[人]
【娘から電話がかかってきた。】
딸에게서 전화가 걸려왔다. (タレゲソ チョナガ コリョワッタ)
한테서 (에게서の会話体)
・起点[人]
【おばあちゃんからメールが来たよ。】
할머니한테서 메일이 왔어요. (ハルモニハンテソ メイリ ワッソヨ)
처럼 (~のように)
・比較・例示
【私もあなたのように幸せになりたい。】
나도 당신처럼 행복해지고 싶어요. (ナド タンシンチョロム ヘンポクハジゴ シッポヨ)
보다 (~より)
・比較の対象
【昨日より今日のほうが暖かい。】
어제보다 오늘이 더 따뜻하다. (オジェポダ オヌリ ト タドゥッサダ)
부터 (~から)
・時間の起点
【明日から学校が始まる。】
내일부터 학교가 시작된다. (ネイルブト ハッキョガ シジャクトェンダ)
까지 (~まで)
・時間的/空間的限度
【空港までバスで行きます。】
공항까지 버스로 이동합니다. (コハンカジ ポスロ イドゥンハムニダ)
와 / 과 (~と)
・羅列
【机といすを並べてください。】
책상과 의자를 나란히 놓아주세요. (チェクサングァ ウィサル ナラニ ノアジュセヨ)
・動作の共同者
【明日は友達と会う約束がある。】
내일은 친구와 만날 약속이 있다. (ネイルン チングワ マンナル ヤクソギ イッタ)
・比較の対象
【僕は君とは違う。】
나는 너와 다르다. (ナヌン ノワ タルダ)
를 / 을 (~を)
・目的[를]
【私は韓国ドラマを見るのが好きです。】
저는 한국 드라마를 보는 것을 좋아합니다. (チョヌン ハングク トラマル ポヌン ゴスル チョアハムニダ)
・目的[을]
【ビビンバを食べたいです。】
비빔밥을 먹고 싶어요. (ピビンパブル モッコ シッポヨ)
에서 (~で・~から)
・場所
【日本から来ました。】
일본에서 왔습니다. (イルポネソ ワッスムニダ)
・出発点
【家から駅まで歩いて10分くらいです。】
칩에서 역까지 걸어서 10분 정도 걸립니다. (チベソ ヨクカジ コリョソ シップン チョンド コリムニダ)
로 / 으로 (~へ・~に・~で)
・方向
【済州島に旅行に行きます。】
제주도로 여행을 떠납니다. (チェジュドロ ヨヘンル トナムニダ)
・手段
【私は電車で通勤しています。】
저는 전철로 출퇴근하고 있습니다. (チョヌン チョンチョルロ チュルトェグナゴ イッスムニダ)
・理由/原因
【父は肺炎で入院しました。】
아버지는 폐렴으로 병원에 입원 했습니다. (アボジヌン ペリョムロ ピョンウォネ イポンヘッスムニダ )
・変化/様態
【水が氷に変わった。】
물이 얼음으로 변했다. (ムリ オルムロ ピョネッタ)
나 / 이나 (~か・~や・~でも)
・選択
【アメリカかイギリスに留学したい。】
미국이나 영국으로 유학을 가고 싶다. (ミグギナ ヨングクロ ユハグル カゴ シッタ)
・譲歩
【お茶でも飲みながら話しましょう。】
차나 마시면서 이야기를 나누자. (チャナ マシミョンソ イヤギル ナヌジャ)
・強調
【息子はごはんを3杯も食べた。】
아들은 밥을 세 그릇이나 먹었다. (アドゥルン パブル セ クルシナ モゴッタ)
라고 (~と)
・引用
【来るなと言ったのに。】
오지 말라고 했는데. (オジ マルラゴ ヘンヌンデ)
야 / 이야 (~は・~こそ・~だけは)
・強調
【家では楽な服を着ていたい。】
집에서야 편한 옷을 입고 싶다. (チベソヤ ピョナン オスル イッコ シプタ)
밖에 (~しか [ない])
・否定文での限定
【韓国語はまだ少ししか話せません。】
한국어는 아직 조금밖에 할 줄 모릅니다. (ハングゴヌン アジク チョグムパケ ハル チュル ロルムニダ)
든지 (~でも・~であれ)
・許容の意思
【いつでも来てください。】
언제든지오세요. (オンジェドゥンジ オセヨ)
韓国語の似ている助詞の使い分け
韓国語の似ている助詞を使い分ける方法を紹介します。
先ほどの例文を見てもわかるように似ているものがいくつかあるので、ポイントを押さえて効率よく学習しましょう。
에서 ・ (으)로・에
「에서 ・(으)로・에」は、方向や場所を表す意味を持つ点で似ています。
特に、場所を表す場合の「에서と에」、方向を表す場合の「(으)로と에」は、使い分けが難しく感じるかもしれません。
場所を表す「에서と에」については、「에서」を使う場合はその場所での動作・行為に重点をおくのに対して、「에」は場所のほうに重点をおく点で異なるといえます。
方向を表す場合の「(으)로と에」では、「(으)로」が国、都市など特定された場所につくことが多く、「에」はその場所があまり特定されていない点で違いがあるといえます。
에・에게・ 한테
「에・에게・한테」はどれも日本語では「~に」にあたる助詞ですが、「에」と「에게・한테」で表す意味に違いがあります。
「에게と한테」は「人」を表す言葉の後のみに続く助詞で、その「人」は後に続く動作・行為などの対象を表します。에にはそのような意味はありません。
「에게」と「한테」は意味は同じですが、「에게」は書き言葉で使われることが多く、「한테」は口語で使われることが多いです。
부터・에서 ・에게서 ・한테서
「부터・에서・에게서・한테서」は、いずれも日本語では「~から」と訳され、何らかの起点を表す意味を持つ点で共通しているので混同しやすいです。
このうち、「에게서」と「한테서」は「에게・한테」と同様に必ず「人」を表す言葉の後につきます。これに対して「부터」と「에서」は「人」を表す言葉の後にはつきません。
他方、「부터」と「에서」は時間的な起点を表す場合にかなり似ており、使い分けが難しいことは否定できません。また、どちらも時間的・空間的な限界を表す「까지(~まで)」とセットで使える点でも似ています。
実際、どちらを使ってもよい場合もあります。強いて言えば、부터は「起点から限界までの範囲」、에서は「起点」に重きを置いているといえます。
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韓国語の助詞の覚え方
韓国語の助詞の覚え方を紹介します。
コツを掴めば効率よく覚えられるので、次に紹介する2つをマスターしましょう。
覚え方①:文のどこでどのような助詞が使われているかに注目
韓国語を読むときは一つ一つの文の中で、どこでどのような助詞が使われているかに注目してください。
韓国語ではほとんどの文で助詞が使われているので、毎日の学習の中で助詞を見つけることは何回もあります。助詞を見つけたら決まった色のマーカーを引くのもよいでしょう。
音声を聴くときは助詞だけを意識する必要はありませんが、音声をリピートするときやディクテーションをやるときは、どのような助詞が使われているかに意識を向けると効果的です。
覚え方②:どの助詞を使うかを意識しながら作文する
韓国語の作文練習をするときは、「どの助詞を使うか」を意識しながら文を考えるようにしてください。
①と②を繰り返すことによって、確実に助詞を覚えて使いこなせるようになるでしょう。
韓国語の助詞を覚える際のおすすめアプリ
韓国語の助詞を覚えることは独学でもできます。
しかし、助詞の例文を作ろうと思って翻訳アプリを使ったら別の助詞が使われていたり、音声を聴くと発音変化があるためにどこでどの助詞が使われているか識別できなかったりなど、独学では助詞のことでわからないことが色々出てくるでしょう。
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まとめ:韓国語の助詞を覚える際は使われ方を意識しよう
韓国語の助詞については、始めのうちはなかなか覚えられなかったり、会話や作文で間違えたりすることもあると思います。
しかし、韓国語の文を読むときや音声を聴くときに「どういう場合にどの助詞が使われているか」を意識していると、毎日の積み重ねで自然に覚えられるようになります。
本記事で紹介した22の助詞を使いこなせると韓国語の理解はグッと進むので、少しずつ学習を進めてみてください。
助詞を意識したインプットを継続しながら話す・書く練習をすれば確実に助詞をマスターできるので、ぜひ継続して学習していきましょう。