おしゃべりが大好きなイタリア人。
会話のきっかけはすべて、元気なあいさつから始まります。カフェ感覚で出入りするバールで飛び交う常連さんたちのあいさつ、ショッピング中に耳にする店員さんの朗らかなあいさつ。こうしたあいさつに応えられないと、なかなか会話に入っていけません。
イタリア語の実践のために、あいさつを覚えて会話のきっかけを作ってみましょう。あいさつをしたらぜひ、簡単な自己紹介をしたいもの。最初のあいさつさえできれば、互いの気分がほぐれて自然に会話が生まれていきます。
本記事では10年以上イタリアに住んでおり、翻訳の実績も豊富な筆者が、あいさつから自己紹介の基本に加え、ビジネスでよく使うフォーマルなフレーズについても解説します。
イタリア語の基本のあいさつ
すべての国で「あいさつ」は礼節の基本です。
陽気な国民性で知られるイタリアでは特に、元気なあいさつが日常生活の中に響いています。その仲間入りをするために、まずは基本のあいさつを覚えましょう。
基本①:おはよう
朝、町中のバールで耳にするあいさつ「おはよう」。
イタリア語では、このように表現します。太字部分にアクセントを置くよう意識してみてください。
【おはよう】
Buongiorno(ブォンジョルノ)
眠気も吹き飛ぶくらいの大きな声であいさつをするのがイタリア風です。
基本②:こんにちは
日中、「こんにちは」とあいさつしたい場合はどうでしょうか。
実は日中のあいさつも、「おはよう」と同じ表現です。
【こんにちは】
Buongiorno.(ブォンジョルノ)
このあいさつは本来、イタリアのランチタイムである13時頃までに使われてきた慣習があります。現在はその境界線があいまいになり、昼食の後も日が高いうちは「Buongiorno」とあいさつする人がほとんどです。
13時から17時くらいまでの「こんにちは」には、以下のフレーズも使われます。
【こんにちは】
Buonpomeriggio.(ブォンポメリッジョ)
現在このあいさつを耳にすることは稀です。
個人の嗜好、各地方の習慣にもよりますが、16時くらいまでは「Buongiorno」というあいさつで問題ありません。
基本③:こんばんは
日本語の「こんばんは」に該当するイタリア語はこちらです。
【こんばんは】
Buonasera.(ブォナセーラ)
このあいさつの使用は、夜間だけではありません。17時以降、日が暮れ始めたころから使ってみてください。
また、同世代の親しい中であれば、こうしたシチュエーションでのあいさつは、ご存知の方も多い以下のフレーズを使います。
Ciao!(チャオ!)
いかにもイタリア語らしい軽やかさが凝縮されている「Ciao(チャオ)」は、とても便利なあいさつです。北イタリアに行くと、「Ciao(チャオ)」ではなく「Salve(サルヴェ)」というあいさつもよく使われます。
しかし改まった場ではふさわしくないこともありますから、ケースバイケースであいさつ表現を選んでくださいね。
【参考】Zanichelli editore S.p.A.I saluti in Italia
【参考】在里寛司 ・池田 廉 ・郡 史郎 ・西村暢夫 ・米山嘉晟編 (1999)伊和中辞典(第2版)小学館
【参考】本多孝昭 (著)『本気で学ぶイタリア語』 ベレ出版, 2016
【関連記事】イタリア語の単語集!日常会話で使う単語を品詞別に紹介
イタリア語のあいさつ|自己紹介
初めて会う人に対しては、あいさつだけではなく自己紹介をするのが自然です。
簡単な自己紹介のための表現を見ていきましょう。
自己紹介①:はじめまして
イタリア語の「はじめまして」は、「喜び」の意味を持つ素敵な言葉で表現します。
【はじめまして】
Piacere.(ピアチェーレ)
相手に「Piacere!」と言われた場合には、「私のほうこそ」という感情を込めてこう応えることが多いです。
【こちらこそ(はじめまして)】
Piacere mio.(ピアチェーレ・ミオ)
自己紹介②:私の名前は○○です
名前を名乗る場合には、「chiamarsi(キアマルシ)」という動詞を使います。この動詞は再帰動詞と呼ばれるもので、文法的に説明すると長くなります。
「私の名前は○○です」と伝える場合は、定型文として以下の表現を暗記してしまいましょう。
【私の名前はアオイです】
Mi chiamo Aoi.(ミ・キアーモ・アオイ)
自己紹介③:私は日本人です
日本のアニメを見て育った世代が多いイタリアでは、「私は日本人です」と伝えるだけで会話がはずみます。ぜひこのフレーズも覚えてみてくださいね。
【私は日本人です】
Io sono giapponese.(イオ・ソノ・ジャッポネーゼ)
「私」を意味する「Io(イオ)」を省略し、「Sono giapponese(ソノ・ジャッポネーゼ)」でも問題ありません。
【参考】在里寛司 ・池田 廉 ・郡 史郎 ・西村暢夫 ・米山嘉晟編 (1999)伊和中辞典(第2版)小学館
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イタリア語のあいさつ|別れ
次は、別れのシーンで使用するイタリア語のあいさつです。
すでに解説した「Buongiorno」や「Ciao」は、実は別れる場面でも使えます。
「Buongiorno」は「よい日を」という意味ですし、「Ciao」は「またね」というニュアンスで使われ、とても便利です。
それ以外の別れのあいさつを紹介します。
別れ①:さようなら
親しい仲でも改まった場でも使うことができる「さようなら」は、このように表現します。
【さようなら】
Arrivederci.(アッリヴェデルチ)
さらにフォーマルな表現として、こちらも覚えておくとよいでしょう。
【さようなら】
Arrivederla.(アッリヴェデルラ)
こちらの「さようなら」は、目上の人に使うあいさつです。また銀行や病院など、学識のある人が使う傾向がありますから、友人同士では必要ありません。
「Arrivederci」や「Arrivederla」には、「また会いましょう」という意を含んでいます。
一方、こちらの「さようなら」は、今後会う可能性が低い場合のあいさつです。詩的な響きもあり、実生活ではほとんど使いませんが、参考にしてみてくださいね。
【さようなら】
Addio.(アッディーオ)
【参考】トレッカーニイタリア大百科事典
【参考】在里寛司 ・池田 廉 ・郡 史郎 ・西村暢夫 ・米山嘉晟編 (1999)伊和中辞典(第2版)小学館
別れ②:よい一日を
別れるときに「よい一日を」と伝えるのは、お互いに気持ちがよいものです。
「こんにちは」のあいさつ「Buongiorno」はまさに、「よい一日」の意味を持っているので、別れる時にこの言葉を使ってもよいでしょう。
もう少しくだけたニュアンスがあるため、日常的によく使うあいさつもあります。
【よい一日を】
Buona Giornata.(ブォナ・ジョルナータ)
「Buongiorno」は、出会ったときと別れたとき、いずれも使えるあいさつです。
一方「Buona Giornata」は、別れ際のみのあいさつになるので、注意してください。
別れ③:また会いましょう
「また会いましょう」の表現は、いくつかあります。よく使うあいさつを紹介します。
【また会いましょう】
- Ci vediamo. (チ・ヴェディアーモ)
- A presto.(ア・プレスト)
- Alla prossima.(アッラ・プロッシマ)
どの表現も、「早いうちに再会できるといいですね」という思いが込められています。
イタリア語のあいさつ|ビジネス
友人知人との気軽なあいさつとは別に、ビジネスの場で使う表現を覚えておきましょう。ビジネスの相手には、用いる言葉次第で教養の程度を悟られることも多々あります。ぜひ洗練されたあいさつで、ワンランク上の交渉をしてみてください。
ビジネス①:調子はいかがですか?
「こんにちは」のあとには、いきなり本題に入らず、「調子はいかがですか?」というあいさつでワンクッションおいてみましょう。
【調子はいかがですか?】
- Come sta? (コメ・スタ?)
- Come va? (コメ・ヴァ?)
「最近の状況はいかがですか」というイメージのあいさつです。
ビジネス②:よろしくお願いします
日本語の「よろしくお願いします」は、とても日本的なあいさつです。イタリア語には直訳が存在しません。
「お目にかかれて光栄です」という思いを込めて、次のフレーズを使うのもよいかもしれません。
【お目にかかれて光栄です】
Molto lieto(lieta)di conoscerla.(モールト・リエート / リエータ・ディ・コノッシェルラ)
ご自身が男性ならば「lieto」、女性ならば「lieta」で対応してみてください。
【参考】トレッカーニイタリア大百科事典
【参考】在里寛司 ・池田 廉 ・郡 史郎 ・西村暢夫 ・米山嘉晟編 (1999)伊和中辞典(第2版)小学館
ビジネス③:ありがとうございます
通常の「ありがとうございます」ならば、よく知られた「Grazie(グラッツィエ)」で事足ります。
ビジネスの相手には、もう少し丁寧な「ありがとうございます」でイメージアップを図りましょう。
【ありがとうございます】
La ringrazio con tutto cuore. (ラ・リングラツィオ・コン・トゥット・クオーレ)
こちらの表現を使うと、「心から感謝いたします」という気持ちが伝わります。後半部分の「con tutto cuore」は省いても「ありがとうございます」という思いが伝わります。
【感謝の言葉もありません】
Non so come ringraziarla.(ノン・ソ・コメ・リングラツィアルラ)
「感謝する術を知らない」というこちらのフレーズで、強い謝意を表現できます。
ビジネス④:申し訳ございません
「申し訳ございません」というフレーズは、イタリア語では「dispiacersi(ディスピアチェルシ)」という動詞を使って表現します。「ごめんなさい」という意味よりも、「遺憾なことに」というニュアンスに近いフレーズになります。
【申し訳ございません】
Mi dispiace.(ミ・ディスピアーチェ)
【本当に申し訳ございません】
Mi dispiace tanto.(ミ・ディスピアーチェ・タント)
明らかにこちらに非があり、謝罪をする必要があるときはこちらのフレーズを使いましょう。
【心からお詫び申し上げます】
La faccio le mie scuse piu` sincere.(ラ・ファッチョ・レ・ミエ・スクーゼ・ピュウ・シンチェーレ)
ビジネス⑤:お役に立ててよかったです
「お役に立ててよかったです」というエレガントなフレーズは、次のようなイタリア語で使ってみましょう。
【お役に立ててよかったです】
- Sono felice di esserle stato utile.(ソノ・フェリーチェ・ディ・エッセルレ・スタート・ウーティレ)
- Sono contento di essere stato d’aiuto.(ソノ・コンテント・ディ・エッセレ・スタード・ダユート)
「お役に立てて幸せです」「あなたの助けとなることができて嬉しいです」という意味のこれらのフレーズを、「お役に立ててよかったです」と言うべきシーンで口にしてみてください。
【参考】在里寛司 ・池田 廉 ・郡 史郎 ・西村暢夫 ・米山嘉晟編 (1999)伊和中辞典(第2版)小学館
まとめ
人とのコミュニケーションを特に大事にするイタリアでは、明朗なあいさつが人間関係を築くうえで大事な要素になっています。
イタリア語のあいさつを学ぶ場合には、以下の点を覚えておくと便利です。
- 1日の始まりから午後の明るいうちは「Buongiorno(ブォンジョルノ)」で問題ない
- 「Buongiorno(ブォンジョルノ)」や「Ciao(チャオ)」は出会いと別れ、どちらにも使える
- 自己紹介やビジネスのためのフレーズは定型文として暗記してしまうと便利である
あいさつの基本を実践して、イタリア人とのコミュニケーションにトライしてみてください。
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