フランス語の前置詞と言うと、フランス語学習者の多くは「à」や「de」を思い浮かべるでしょう。

しかし、フランス語にはそれ以外にもたくさんの前置詞があり、それぞれを適切に使い分ける必要があります。

より多くの前置詞を覚えることで、表現の幅が広がり自分の言いたいことを伝えやすくなるので、フランス語がもっと楽しくなるはず。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語の前置詞を一覧・例文を使いながら詳しく解説します。

フランス語の前置詞の役割と使い分け

まずは前置詞の役割について正しく理解しましょう。

前置詞の役割は「名詞や名詞句の前に置いて、名詞およびその文章の意味や情報を補う」と説明できます。

つまり、フランス語の前置詞は、英語の前置詞「at」「in」「from」などと同様の役割を果たすのです。参考までに、例文を一つ見てみましょう。

例:

【ジャンはピエールの家でバカンスを過ごします】
Jean passe ses vacances chez(←前置詞) Pierre.

ここで使われている前置詞「chez」には、「〜の家で、〜の家に」といった意味があります。前置詞「chez」を使うことで、「ピエールの家で」という情報を文章に加えられるのです。

それぞれの前置詞には、異なった意味やニュアンスがあります。

似たような意味を持つ前置詞でも「この場面ではこの前置詞しか使えない」という慣習やルールもあります。そのため、前置詞の意味や使える場面をきちんと理解し、正しく使い分けることが大切です。

【関連記事】フランス語のアルファベットとは?読み方、発音記号、覚え方をわかりやすく解説

フランス語のおもな前置詞一覧

フランス語には実に多くの前置詞があります。その中でもよく使われる前置詞を一覧にまとめました。

それぞれの前置詞の意味やニュアンスを把握するための参考にしてください。

前置詞意味
à(場所・時間的に)〜に、〜で
après(時間的に)〜の後で
avant(時間的に)〜の前に
avec〜と一緒に、〜を使って
chez〜の家で、〜のところで
contre〜の反対の
dans〜の中に
de〜の、〜から
depuis〜から、〜以来
derrière(場所的に)〜の後ろに
devant(場所的に)〜の前に
en〜の中で、に
entre~の中に、間に
malgré〜にもかかわらず
par〜によって
parmi(3つ以上の)〜の中で
pendant〜の間に、〜中
pour〜のために、〜へ
sans〜なしで
sauf〜を除いて
selon〜によると
sous〜の下に
sur〜の上に
versおおよそ、〜の方に

【関連記事】【初心者必見】フランス語の勉強方法をわかりやすく解説!

自分にあった理想の講師を見つけましょう

italki では、資格を有する経験豊富なフランス語の講師がいます。気軽にプロ講師からフランス語を学びましょう!

体験レッスンを予約する

フランス語のおもな前置詞の意味を例文つきで解説

フランス語の前置詞は、単体で覚えるよりも文章で覚えるのをオススメします。なぜなら、文章で覚えると、その前置詞の使う場面やニュアンスなども一緒に覚えやすいからです。

ここからは、一覧で紹介した前置詞の意味と使い方を例文とともに詳しく紹介していきます。

à:〜に、〜で

「à」は、場所や時間について「〜に、〜で」という意味を表す前置詞です。

例:

【私はパリに住んでいます】
J’habite à Paris.

【私達は8時に会います】
On se revoit au(※)8h.

※例文では、前置詞「à」と定冠詞「le」が縮約し「au」に変化しています

また、ある物が誰のものであるかという所有の意味でも使います。

例:

【この本はあなたのものですか?】
Ce livre est à vous?

そのほかにも、人物の特徴や用途などの意味を表す時に使うことがあります。

例:

【赤い髪の女性はマリーです】
La femme aux(※) cheveux roux est Marie.

※例文では、前置詞「à」と定冠詞「les」が縮約して「aux」に変化しています

après:〜の後で

「après」は、時間において「〜の後で」という意味を表す前置詞です。次に説明する前置詞「avant」と対をなす前置詞です。

例:

【夕食の後でテレビを見ます】
Je regarde la télé après le dîner.

avant:〜の前に

「avant」は、時間において「〜の前に」という意味を表す前置詞です。一つ前の「après」と対になる前置詞です。

例:

【寝る前に水を飲みました】
J’ai bu de l’eau avant de dormir.

【夕飯の前に宿題をやります】
Je fais mes devoirs avant le dîner.

avec:〜と一緒に

「avec」は「〜と一緒に」という意味を持つ前置詞で、英語のwithに相当します。

例:

【私は彼女と一緒にそこへ出かけた】
J’y suis allé avec elle.

また英語のwithと同じように、「〜を使って」という手段を表す意味でも使います。

例:

【日本人はお箸でご飯を食べます】
Le japonais mange du riz avec des baguettes.

chez:〜の家で、〜のところで

「chez」は、「〜の家で、〜のところに」という意味を持ちます。英語には該当する前置詞がありませんが、「at 〇〇’s home」などの表現で表せます。

例:

【私は自分の家でパーティーを開きました】
J’ai organisé la fête chez moi.

contre:〜の反対の

「contre」は、「〜の反対の、〜に対して」という意味を持つ前置詞です。英語の「against」のような意味を持ちます。

例:

【この薬は、その病気に対して有効です】
Ce médicament est efficace contre la maladie.

dans:〜の中に

「dans」は「〜の中に」という意味を持つ前置詞です。英語の「in」や「inside」と似た意味を持つ前置詞となります。

例:

【カバンの中に飴が入っています】
Il y a des bonbons dans le sac.

de:〜の、〜から

前置詞「de」は「〜の、〜から」という意味があります。所有や対象、方向や種類・材質など色々な場面で使われます。英語の「of」や「from」などの意味をカバーする前置詞です。

例:

【私は日本から来ました】
Je viens du(※) Japon.

※例文では、前置詞「de」と定冠詞「le」が縮約し「du」と変化しています

【このレストランは私の父の店です】
C’est le restaurant de mon père.

【りんごのコンポート】
Une compote de pommes

depuis:〜から

「depuis」は「〜から、〜以来」を意味する前置詞です。継続時間・期間を表す意味で使われます。

例:

【彼は1990年からカナダで働いています】
Il travaille au Canada depuis 1990.

derrière:〜の後ろに

「derrière」は、位置関係における「〜の後ろに・で」という意味を表す前置詞です。次に説明する「devant」と対をなす前置詞です。

例:

【私の後ろにいる女性はエリです】
 La femme derrière moi est Eri.

devant:〜の前に

「devant」は、位置関係における「〜の前に」という意味を表す前置詞です。一つ前の前置詞「derrière」と対になる前置詞です。

例:

【私はエッフェル塔の前にいます】
Je suis devant la Tour Eiffel.

en:〜の中で、に

「en」は、国名や地方名の前に置いて「〜の中で、〜で・に」といった意味を持つ前置詞です。英語の「in」にあたる意味を表します。

注意点として、「en」の後ろに置ける国名は女性名詞の国名のみ、冠詞をつけずに置くというルールがあります。男性名詞の国名には「à」を使い、この場合は定冠詞が必要となります。

例:

【彼はイタリア(女性名詞)に住んでいます】
Il habite en Italie.

【彼女は日本(男性名詞)に住んでいます】
Elle habite au(※) Japon.

※例文では前置詞「à」と定冠詞「le」が縮約し「au」に変化しています

参考までに、女性名詞となる国名の一部を挙げておきます。

例:

【フランス】
la France

【カナダ】
la Canada

【スイス】
la Suisse

【ロシア】
la Russie

【ギリシャ】
la Grèce

【中国】
la Chine

【韓国】
la Corée

【スペイン】
l’Espagne

entre:~の中に、間に

「entre」は、「〜の中に、〜の間に」という意味を持ち、英語の「between」と似た意味の前置詞です。

例:

【あなたたちの間の問題はなんですか?】
Quels sont les problèmes entre vous?

malgré:〜にもかかわらず

「malgré」は「〜にもかかわらず」という意味の前置詞です。英語の「despite」にあたる前置詞です。

例:

【怪我にもかかわらず、彼は試合に勝ちました】
Malgré sa blessure, il a remporté le match.

par:〜によって

「par」は「〜によって」という、行為を行った人物や原因となった物事を表すための前置詞です。英語の「by」にあたる前置詞で、受動態で多く使われます。

例:

【私の母によって、庭はキレイに手入れされています】
Le jardin est magnifiquement entretenu par ma mère.

parmi:〜の中で

「parmi」は「(3つ以上のもの)の中で」を意味する前置詞で、英語の「among」に似た意味を持ちます。

例:

【若者の間ではSNSが流行っています】
Les réseaux sociaux sont populaires parmi les jeunes.

pendant:〜の間に

「pendant」は時間的な意味での「〜の間に、〜の期間中に」を表現する前置詞です。英語の「during」にあたる前置詞です。

例:

【バカンスの間、彼女はスペインで過ごす予定です】
Elle restera en Espagne pendant ses vacances.

pour:〜のために

「pour」は「〜のために」という意味を持つ前置詞で、英語の「for」にあたる前置詞です。

例:

【彼は私のために花を買ってくれた】
Il a acheté des fleurs pour moi.

また英語の「for」と同じように、方角・方向の「〜へ」という意味を示す前置詞としても使えます。

例:

【彼は中国へ旅立ちます】
Il part pour la Chine.

sans:〜なしで

「sans」は「〜なしで」という意味を表す前置詞で、英語の「without」にあたります。

例:

【人間は水なしでは生きられません】
L’homme ne peut pas vivre sans eau.

sauf:〜を除いて

前置詞「sauf」は「〜を除いて、〜以外」という意味です。英語の「except」にあたる前置詞です。

例:

【彼以外は全員授業にいた】
Tous les élèves étaient en classe, sauf lui.

selon:〜によると

「selon」は「〜によると」という情報源などを補足するために使う前置詞です。英語の「according to」という前置詞句と似た意味を表します。

例:

【ジョンによると、マリーと恋人は別れたらしい】
Selon John, Marie et son copain se sont séparés.

sous:〜の下に

「sous」は「〜の下に」という意味を持つ前置詞です。次に紹介する「sur」の対となる前置詞で、英語の「under」にあたる表現です。

例:

【椅子の下に猫がいます】
Il y a un chat sous la chaise.

sur:〜の上に

「sur」は、「〜の上に」という意味を表す前置詞です。英語の「on」や「over」にあたり、一つ前の前置詞「sous」と対をなします。

例:

【彼はテーブルの上にカバンを置いた】
Il a posé son sac sur la table.

vers:〜の方に

「vers」は、方向・方角的な意味で「〜の方へ」という表現に使われる前置詞です。

例:

【飛行機は東アジアの方へ向かいました】
L’avion se dirigeait vers l’Asie de l’Est.

また「vers」は「〜頃」という意味も表し、英語の「about」に近い形で使われます。

例:

【5時頃には家にいます】
Je serai chez moi vers 17h00.

覚えた前置詞はフランス人講師との会話でアウトプットしよう

ここまでたくさんの前置詞を紹介してきました。それぞれの前置詞の意味やイメージが少しでも掴めたのではないでしょうか。

このイメージを忘れないために、ぜひ紹介した前置詞を使って積極的に会話練習してみてください。

「会話練習の機会がない」という方にオススメなのが、オンラインで仏会話レッスンを受けられるitalkiです。

世界中で500万人以上が利用しているitalkiには次のようなサービスがあり、フランス語の勉強・会話練習に最適なサービスです。

  • 資格を持ったプロ講師から気軽に会話を楽しめるコミュニティチューターまで、様々な先生を選べる
  • マンツーマンレッスンだけでなくグループレッスンも受講可能
  • 無料のコミュニティ機能で気軽に試せる
  • 24時間365日、自分の好きな時にレッスンを受けられる

体験レッスン3回分が割引価格で提供されているので、興味がある方は試してみてください。

>italkiのフランス語オンラインレッスンを体験する

まとめ:フランス語の前置詞を覚えると表現の幅が広がる

フランス語の前置詞は数多くあり、それぞれ異なる意味やニュアンスを持っています。

数が多い分覚えるのが大変な側面もある一方で、前置詞をたくさん覚えていると表現の幅がかなり広がります。

ぜひこの記事を参考にしながら、ご自身が使える前置詞のバラエティを増やしていってください。

そうすれば、あなたのフランス語はますます豊かなものになるでしょう。

【関連記事】フランス語の発音をわかりやすく解説!コツや正しい練習方法をご紹介

italkiで言語を学ぶ準備ができましたか?

こちらが最高の学習リソースです!