「フランス語の動詞の活用が難しい」という声を多くのフランス語学習者から聞きます。

確かにフランス語の動詞の活用は、日本語とも英語とも違う多くの時制やルールがあるため複雑です。

しかし、一度ルールや法則を学んでしまえば、思いのほかスムーズに覚えられたという人も少なくありません。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語の動詞の活用について、ルールや種類、効率的な学習ステップまで詳しく解説します。

まずはこの記事を読んで、フランス語の動詞活用の基礎を理解しましょう。

フランス語の動詞の活用とは

まずは「動詞の活用」とは何によって起こるのかを理解しましょう。

フランス語の動詞の活用は、以下の3つによって決まります。

  1. 叙法
  2. 時制
  3. 主語

この3つの組み合わせが変わることで、動詞の活用が起こるのです。

叙法

叙法とは「文章のスタイル」のこと。

フランス語には以下のような叙法があり、叙法によって話し手が意図するニュアンスを伝えられます。

叙法の種類その法を使った文章のスタイル・ニュアンス
直説法事実をありのままに述べる
接続法頭の中で考えたことを述べる
条件法とある条件とした場合の結論を述べる
命令法対話者に対する命令・依頼・勧誘などを述べる

時制

時制とは、現在・過去・未来あるいは仮定といった、文章における時間の部分のことを指します。それぞれの法ごとの主な時制として、以下のようなものがあります。

時制の種類
直説法現在、複合過去、半過去、大過去、単純過去、前過去、単純未来、前未来
接続法現在、過去、半過去、大過去
条件法現在、過去
命令法現在、過去

主語

主語とは、文章の「私は、あなたが」にあたる部分です。英語のIやYou、Heと同じです。

主語には6つのパターンがあります。

単数複数
一人称JeNous
一人称TuVous
一人称Il / ElleIls / Elles

叙法(法)、時制、そして主語によって、動詞の活用が起こることをまずは理解しておきましょう。

フランス語の動詞活用の種類

先ほどお伝えした通り、動詞は叙法・時制・主語の組み合わせによって活用が変化します。

基本の動詞の法×時制は、以下の16パターンあります。

  • 直説法:現在、複合過去、半過去、大過去、単純過去、前過去、単純未来、前未来
  • 接続法:現在、過去、半過去、大過去
  • 条件法:現在、過去
  • 命令法:現在、過去

そして、主語は以下の6つです。

  • Je, Tu, Il / Elle, Nous, Vous, Ils / Elles

これらをかけ合わせて単純計算すると、活用パターンは96個あることになります。一部活用形がない組み合わせもあるのですが、それでも90近いパターンの活用があります。

以下に頻出動詞の一つ「avoir(持つ)」の活用例を一部記載しますので、見てみましょう。

例:

【持つ】
avoir

直説法現在

単数複数
一人称aiavons
一人称asavez
一人称aont

接続法現在

単数複数
一人称aieayons
一人称aiesayez
一人称aitaient

条件法現在

単数複数
一人称auraisaurions
一人称auraisauriez
一人称auraitauraient

命令法現在(※)

※命令法は二人称単数、一人称複数、二人称複数の3つのみ

単数複数
一人称ayons
一人称aieayez
一人称

これ以外にもたくさんの活用があると考えると、フランス語学習者の多くが動詞の活用に苦しむのも納得できますね。

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フランス語の規則動詞・不規則動詞とは?それぞれの活用ルールも解説

フランス語の活用の仕組みやパターンを解説してきました。

「これ全部覚えなきゃいけないの?」とびっくりしている人もいるかもしれませんが、安心してください。

フランス語の動詞は、以下の3つのグループに大きく分けられます。そして、グループごとに活用のルールがあるのです。(※)

  1. 第一群規則動詞(er動詞)
  2. 第二群規則動詞(ir動詞)
  3. 第三群動詞(不規則動詞)

各グループのルールを覚えてしまえばそれに当てはめるだけなので、それぞれの動詞の活用形を個別に覚える必要はありません。

※第三群動詞およびその他の一部動詞は不規則に活用します

規則動詞:第一群規則動詞(er動詞)

第一群規則動詞とは、動詞の原形の語尾がerで終わる動詞のことです。この第一群規則動詞は、フランス語の動詞の約9割以上を占めています。

例:

aimer, parler, marcher, donner

第一群規則動詞は、基本的に規則通りに活用変化します。それぞれの動詞の語幹(※)に、決まった活用語尾をつける規則です。

※語幹とは、動詞の前半にある変化しない部分のことで、第一群規則動詞では、末尾のerを取り除いて残った部分を指します

以下に、第一群規則動詞の活用語尾の一部動詞「aimer(〜が好き)」の活用形の例を記載しました。

例:

【〜が好き】
aimer

直説法現在の活用語尾

単数複数
一人称-e-ons
一人称-es-ez
一人称-e-ent

直説法現在の活用変化(語幹:aim)

単数複数
一人称aimeaimons
一人称aimesaimez
一人称aimeaiment

直説法半過去の活用語尾

単数複数
一人称-ais-ions
一人称-ais-iez
一人称-ait-aient

直説法半過去の活用変化(語幹:aim)

単数複数
一人称aimaisaimions
一人称aimaisaimiez
一人称aimaitaimaient

条件法現在の活用語尾

単数複数
一人称-erais-erions
一人称-erais-eriez
一人称-erait-eraient

条件法現在の活用変化(語幹:aim)

単数複数
一人称aimeraisaimerions
一人称aimeraisaimeriez
一人称aimeraitaimeraient

第一群規則動詞の場合、各時制の活用語尾を覚えてしまえば、あとは語幹に活用語尾をつけるだけなので、簡単に動詞を活用変化させられます。

しかし、第一群規則動詞の中にも不規則な活用をする動詞もあるため、それらには注意が必要です。このような動詞は数もそこまで多くはないので、個別に活用を覚えるようにしましょう。

例:

【〜を始める】
commencer

直説法現在の活用変化(※)

※一人称複数の「c」が「ç」に不規則に活用する

単数複数
一人称commencecommençons
一人称commencescommencez
一人称commencecommencent

【〜を食べる】
manger

直説法現在の活用変化(※)

※一人称複数の活用で「e」が付く不規則に活用する

単数複数
一人称mangemangeons
一人称mangemangez
一人称mangemangent

規則動詞:第二群規則動詞(ir動詞)

第二群規則動詞とは、動詞の不定形の語尾がirで終わる動詞のことです。

例:

finir, choisir, agir, grandir

第二群規則動詞は、フランス語の動詞の中で2番目に数が多いグループです。第一群規則動詞同様に、語幹に決まった形の語尾をつけるという規則的な活用をします。

第二群規則動詞の「finir(〜を終える)」を例に、活用語尾と活用変化の一部を紹介します。

例:

【〜を終える】
finir

直説法現在の活用語尾

単数複数
一人称-is-issons
二人称-is-issez
三人称-it-issent

直説法現在の活用変化(語幹:fin)

単数複数
一人称finisfinissons
二人称finisfinissez
三人称finitfinissent

直説法半過去の活用語尾

単数複数
一人称-issais-issions
二人称-issais-issiez
三人称-issait-issaient

直説法半過去の活用変化(語幹:fin)

単数複数
一人称finissaisfinissions
二人称finissaisfinissiez
三人称finissaitfinissaient

条件法現在の活用語尾

単数複数
一人称-irais-irions
二人称-irais-iriez
三人称-irait-iraient

条件法現在の活用変化(語幹:fin)

単数複数
一人称finiraisfinirions
二人称finiraisfiniriez
三人称finiraitfiniraient

ただし、語尾がirで終わる動詞の中には、第三群動詞に属し不規則に変化するものがあります。それらは個別に活用を覚える必要があるので注意しましょう。

例:

【走る】
courir

直説法現在の活用変化(※)

※irで終わる動詞だが、第三群動詞で不規則に活用する

単数複数
一人称courscourons
二人称courscourez
三人称courtcourent

不規則動詞:第三群動詞

第一群規則動詞、第二群規則動詞に属さない動詞のことを、まとめて第三群動詞と呼びます。

例:

être, avoir, ​​faire, pouvoir, vouloir

第三群動詞は、活用が不規則で共通のルールなどはありません。そのため、基本的には各動詞の活用形を丸暗記する必要があります。(※)

※似ている形の動詞は同じように活用する場合があります

【〜である】
être

直説法現在の活用変化

単数複数
一人称suissommes
二人称esêtes
三人称estsont

【〜を持つ】
avoir

直説法現在の活用変化

単数複数
一人称aiavons
二人称asavez
三人称aont

【〜をする】
faire

直説法現在の活用変化

単数複数
一人称faisfaisons
一人称faisfaites
一人称faitfont

第三群動詞は不規則に活用するため覚えにくいですが、よく使う頻出動詞の多くが第三群動詞に属します。これらは活用をしっかりと覚える必要があります。

例:

【〜する】
faire

【持つ】
avoir

【行く】
aller

【関連記事】【初心者必見】フランス語の勉強方法をわかりやすく解説!

フランス語の動詞活用の効率的な覚え方

ここからは、より効率的にフランス語の動詞の活用を覚えるための方法をご紹介します。

動詞の活用の覚え方①:頻出動詞から覚える

「フランス語の9割の動詞が当てはまる第一群規則動詞から覚えよう」と考える人がいるかもしれません。

しかし、私個人としては、グループに関わらず、頻出動詞の活用から覚えることをおすすめします。

その理由は、「フランス語の動詞の9割はer動詞」ですが「会話や文章で出てくる動詞の9割がer動詞とは限らない」からです。

前述した通り、日常的によく使う動詞の多くが第三群動詞に属し、不規則に活用するものばかり。頻出動詞の一部を以下で紹介します。

例:

【行く】
aller

単数複数
一人称vaisallons
二人称vasallez
三人称vavont

【できる】
pouvoir

単数複数
一人称peuxpouvons
二人称peuxpouvez
三人称peutpeuvent

【したい】
vouloir

単数複数
一人称veuxvoulons
二人称veuxvoulez
三人称veutveulent

これらの頻出動詞の活用を覚えなければ、初歩的な会話や文章作成は難しいでしょう。

そのため、まずは規則動詞・不規則動詞に関わらず、よく使うと言われる動詞の活用から覚えることをおすすめします。

動詞の活用の覚え方②:良く使う時制の活用から覚える

動詞の基本時制は16パターンありますが、それら全ての時制の活用を一気に覚える必要はありません。

自分のレベルに応じて、段階を踏みながら覚えていくことをおすすめします。

その理由は、使えるべき法と時制は学習レベルによって段階的に増えていくからです。これは、以下の仏検の出題範囲からも分かります。

  • 仏検5級レベルの出題範囲:直説法現在・命令法
  • 仏検4級レベルの出題範囲:直説法(現在、複合過去、半過去、単純未来)、条件法現在、命令法
  • 仏検3級レベルの出題範囲:直説法(現在、複合過去、半過去、大過去、単純未来)、条件法現在、接続法現在、命令法

「直説法現在・命令法を覚える→複合過去・半過去の活用を覚える」というように、少しずつ範囲を広げていきましょう。

段階を踏んで進めれば、一度に覚える量も少なくなり、挫折しづらくなるはずです。

また、接続法大過去といった、現在はほとんど使われていない時制も存在します。これらは基本的に覚える必要がありません。

  • 自分のレベルに合わせて段階的に覚える
  • 覚える必要がない活用は無理に暗記しない

これらを徹底することで、動詞の活用への苦手意識は格段に減るはずです。

動詞の活用の覚え方③:口に出して覚える

動詞の活用を覚える時の効果的な練習法は、主語とセットで口に出して覚えることです。

例えば、「être」の動詞の活用を覚える時は、以下の組み合わせを口に出して練習します。

Je suis → Tu es → Il es →  Elle est → Nous sommes → Vous  êtes → Ils sont → Elles sont

この覚え方のメリットは、文章を組み立てる際に主語と動詞をセットで思い出せることです。また、口に出すことで発音練習にもなります。

活用した語尾の形だけを覚えようする人もいますが、実際の会話で使う時を考えると、あまり効率的ではありません。

身体(口)で覚えると、リズムが身体に染みついて忘れづらいメリットもあるので、ぜひこの練習方法を試してみてください。

動詞の活用の覚え方④:書いて覚える

動詞の活用は、書いて覚えることも大切です。その理由としては、大きく以下の2つが挙げられます。

  1. フランス語は綴りと発音が一致しないことがある
  2. 綴り字記号というフランス語独自の記号が存在する

例:
fait(フェ):語末のtは発音しない
venez(ヴネ):語末のzは発音しない
commençons(コモンソン):真ん中のcに綴り字記号「¸(セディーユ)」がつく

フランス語の活用は音だけを覚えるのではなく、正しい綴りを覚えることも大切なのです。

声に出して発音しながら綴りを書いて覚えると、音と綴りの違いを意識でき、フランス語の発音と綴りの関係性も次第に感覚的に理解できるようになるはずです。

【関連記事】【保存版】フランス語会話の例文集!シーン別にご紹介

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まとめ:フランス語の動詞の活用はコツコツ学び続けよう

フランス語の動詞の活用について、ポイントをおさらいしましょう。

  • 動詞の活用は叙法・時制・主語の組み合わせで決まる
  • 活用の種類は、一つの動詞につき90パターン近くある

また、動詞の種類と特徴は以下の通りでした。

  • 動詞は第一群規則動詞・第二群規則動詞・第三群動詞にグループ分けされる
  • 第一群・第二群規則動詞は規則正しく活用する
  • 第三群動詞は不規則変化する動詞のグループで、頻出動詞が多い

最後に、動詞の活用の覚え方について、4つのポイントを紹介しました。

  1. 頻出動詞から覚える
  2. よく使う時制の活用から覚える
  3. 口に出して覚える
  4. 書いて覚える

動詞の活用は、ある日突然覚えられるものではありません。日々コツコツと覚えていくことで、正しく使える動詞の活用を増やしていくことが大切です。

そのためには、焦ることなく「今日も一つ動詞の活用を覚えたぞ」くらいに、楽しむ感覚で進めるのが良いでしょう。

ぜひこの記事で紹介したポイントを押さえながら、楽しくフランス語の学習を続けてみてください。

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