フランス語を学び始めた人の中には女性名詞・男性名詞があって複雑だ…」と感じている人もいるのではないでしょうか。

女性名詞・男性名詞は日本語にはない概念で、感覚的にも習得することが難しいルールのひとつです。

しかし、このルールを身につけることは、正しく美しいフランス語の習得に繋がる大切な要素なのです。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語の女性名詞・男性名詞に関するルールや見分け方などを詳しく解説します。

フランス語の男性名詞・女性名詞とは

まず女性名詞・男性名詞とは何なのかを簡単に説明します。

その名の通り、フランス語の名詞はそれぞれ性を持っており、男の性を持つものを男性名詞、女の性を持つものを女性名詞とグループ分けするのです。

例:

【本(男性名詞)】
livre

【城(男性名詞)】
château

例:

【テーブル(女性名詞)】
table

【家(女性名詞)】
maison

文法上で各名詞の性は決まっており、個人が感覚的に判断するものではありません。辞書にも、男性名詞か女性名詞かは必ず記載されています。

なぜフランス語の名詞には性があるのか

「なぜフランス語だけ男性名詞・女性名詞が存在するのか?」と不思議に思う人もいるでしょう。

しかし、名詞に性が存在するのはフランス語だけではありません。以下のような言語も、名詞に男性・女性の性を持っています。

  • スペイン語
  • イタリア語

また、ドイツ語やロシア語には中性名詞という3つ目の分類もあります。

こうしたヨーロッパの多くの言語の名詞に性がついているのは、それらの元の言語となる「インド・ヨーロッパ祖語」において、名詞が男性・女性・中性の3つに分けられていたことから始まっていると考えられています。

それらが時の流れを経て、男性・女性の2カテゴリーの言語になったり、中性を含む3分類の言語になったりしたという経緯のようです。

男性・女性の分類は、過去の人々のイメージによって決まっているものも多く、明確な判断基準がないようです。そのため、名詞の意味や形から性の区別を完璧に判断することは難しいのです。

フランス語の男性名詞と女性名詞は冠詞が異なる

フランス語の名詞には冠詞がつきます。冠詞とは、英語の「a」や「the」のように、名詞の前に付く品詞のことです。

例:

【本】
un(←冠詞) livre
le(←冠詞) livre
des(←冠詞) livres

【テーブル】
une(←冠詞) table
la(←冠詞) table
les(←冠詞) tables

フランス語の冠詞は以下の3種類で、それぞれ男性名詞につくか女性名詞につくかで形が変わります。

  1. 不定冠詞
  2. 定冠詞
  3. 部分冠詞

以下に冠詞の一覧を載せているので、参考にしてください。

男性・単数女性・単数男女・複数
不定冠詞ununedes
定冠詞lelales
部分冠詞dude la-(※)

※部分冠詞の男女・複数はなし

フランス語には男性名詞・女性名詞があるため、冠詞の使い分けが必要となります。この点は、フランス語学習者が間違えやすい文法ルールの一つと言えるでしょう。

名詞の性によって形容詞や動詞の形も変わる

冠詞以外に、形容詞や動詞も名詞の性によって変化が必要になります。

形容詞の場合

形容詞も、名詞の性数に合わせて形を変化させる必要があります。例文でその変化を見ていきましょう。

例:

【この本は面白い】
Le livre est intéressant.

上記の例文では、男性名詞「livre」に形容詞「inintéressant」を繋げた文章です。この「inintéressant」が女性名詞についた場合はどうなるのか、以下の例文をご覧ください。

例:

【このビデオは面白い】
La vidéo est intéressante.

女性名詞「video」に繋がる場合、形容詞「inintéressant」は語尾に「e」を追加して「intéressante」に変化します。

このように、形容詞の形も名詞の性に影響を受けるのです。

動詞の場合

受動態における過去分詞など、動詞も名詞の性に合わせて形を変化させる場合があります。

例文でその変化を見てみましょう。

例:

【太郎はリサに好かれている】
Taro est aimé de Lisa.

【リサは太郎に好かれている】
Lisa est aimée de Taro.

男性の太郎が主語の場合は過去分詞「aimé」でしたが、女性のリサが主語になると、過去分詞は「aimée」と変化し、eが追加されます。

このように、動詞でも名詞の性に合わせて動詞の形を変化させる場合があることはきちんと覚えておきましょう。

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フランス語の男性名詞と女性名詞を覚えるべき理由

フランス語の名詞の性を一つ一つ覚えるのは、かなり大変です。それゆえ「本当に名詞の性を覚える必要はあるの?」と考える人もいるかもしれません。

残念ながら、フランス語を習得するためには、名詞の性を覚える必要があると言えます。

なぜなら、名詞の性を覚えていないと冠詞や形容詞・動詞の形を正しく変化させられないからです。その場合、以下のようなデメリットが出てきます。

  • 正しくないフランス語のため、試験でも減点される
  • ネイティブにとって不自然なフランス語となってしまう

名詞の性と冠詞・形容詞・動詞の形が一致していなければ、それは文法的に間違っているので、試験ではしっかり減点されます。

また、正しく性が一致していないフランス語の文章は、フランス人ネイティブにとって「意味は分かるけど、不自然なフランス語だな」と思われてしまいます。

私自身も昔、自分の性と形容詞の性が一致していない文章を話してしまい、「あなたは男性?女性?どっちなの?」と質問されてしまったことがありました。

初心者のうちから完璧を目指す必要はありませんが、フランス語のレベルアップを狙うのであれば、名詞の性を覚えることは重要なポイントと言えるでしょう。

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フランス語の男性名詞と女性名詞の見分け方

ここまで、男性名詞・女性名詞のルールや特徴、覚えるべき理由などを詳しく説明してきました。

ここからは、フランス語の名詞の性を判断する時の手がかりとなるポイントを4つ紹介します。

名詞の性の見分け方①:冠詞・形容詞・動詞の形で判断する

これまで説明した通り、冠詞・形容詞・動詞は、名詞の性によって変化します。

そのため、該当の名詞にかかる冠詞や形容詞・動詞の形によって、名詞の性を判断できる場合があります。

例:

【夢】
Un rêve

上記の例は、不定冠詞の男性単数「un」が付いているので「rêve」は男性名詞と判断できます。

例:

【この手紙は重要だ】
La lettre est importante.

この例文は、定冠詞の女性単数「la」が付いており、形容詞「important」が女性形「importante」になっているため、「lettre」は女性名詞と判断できます。

ただし、男女が同じ形となる冠詞の複数形や、冠詞が名詞と縮約している場合は判断できないこともあります。

例えば、次のような場合は冠詞の形から名詞の性は判断できません。

例:

【本】
Les livres

【学校】
Les écoles

【パソコン】
L’ordinateur

【星】
L’étoile

名詞の性の見分け方②:語尾の形で判断する

名詞の語尾の形によって、男性名詞・女性名詞を判断できる場合もあります。以下に、その一部をまとめました。

例:男性名詞であることが多い語尾

語尾の形該当する男性名詞
-ismejournalisme, nationalisme
-mentmouvement, sentiment, étonnement
-agevoyage, éclairage, courage, mariage, passage
-(e)aubureau, bateau, château
-oirsoir, couloir, espoir

例:女性名詞であることが多い語尾

語尾の形該当する女性名詞
-téqualité, beauté, liberté, réalité
-ionquestion, action, nation, satisfaction
-iejalousie, philosophie, sympathie
-urecouture, écriture, peinture
-ettechaussette, chemisette
-ance, -enceexpérience, absence, essence, balance
-udegratitude, habitude, solitude

ただし、これらの語尾の形をしていてもルール通りではない名詞もあります。そのため、新しい単語に出会った時は、必ず名詞の性を確認するように習慣づけましょう。

名詞の性の見分け方③:語尾がeで終わるものは女性名詞が多い

フランス語の名詞が男性名詞か女性名詞か判断する基準の3つ目は、「語尾がeで終わる名詞は、女性名詞であることが多い」です。

以下の単語は、全てeで終わる女性名詞です。

例:

【人生・暮らし】
une vie

【場所・広場】
la place

【家族】
une famille

しかし、これも絶対ではありません。次の例に挙げたように、男性名詞の中にも語尾がeで終わるものは複数あるので、あくまで一つの目安です。

例:

【本】
un livre

【旅行】
le voyage

【チーズ】
un fromage

名詞の性の見分け方④:他言語由来の外来語は男性名詞が多い

最後の見分け方のポイントは、「他言語から入ってきた固有名詞は、男性名詞となることが多い」です。

例:

【寿司】
sushi

【週末】
weekend

【漫画】
manga

外来語由来の名詞が全て男性名詞なわけではありませんが、試験などで迷った時に一つの判断基準としては使えると思います。

男性名詞・女性名詞を覚えるにはネイティブとの会話が効果的

名詞の数は星の数ほどあるため、それらの性を覚えるのはとても大変です。性の暗記を定着させるコツは、繰り返しその名詞を使っていくことでしょう。

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まとめ:間違いを恐れずフランス語の男性名詞・女性名詞を使おう

フランス語の名詞の性について、特徴をおさらいしましょう。

  • フランス語の名詞には性があり、男性名詞・女性名詞に分類される
  • 名詞の性によって、冠詞・形容詞・動詞が変化する

男性名詞と女性名詞を見分ける時に使えるポイントは、次の4つがあります。

  1. 冠詞・形容詞・動詞の形で判断できる
  2. 語尾の形で判断する
  3. 語尾がeで終わるものは女性名詞が多い
  4. 多言語由来の外来語が男性名詞が多い

名詞の性を覚えるコツは、積極的に使ってたくさん失敗することです。なぜなら、失敗した経験ほど記憶に残りやすいからです。

間違えることを恐れずに、ぜひ会話の中でたくさん練習して、少しずつ暗記量を増やしていきましょう。

この積み重ねが、あなたのフランス語レベルを底上げしてくれるはずです。

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