「フランス人はロマンチックで、日本人よりも愛情表現が熱い。」
そんなイメージをお持ちの人も多いかと思います。
実はその通りで、フランス人はパートナーや家族に愛情を伝えることをとても大切にしており、言葉や態度など様々な方法で愛情表現します。
「愛してる」を意味する「Je t’aime」はとても有名なフランス語かと思いますが、実はフランス語には、「Je t’aime」以外にも愛を伝える表現がたくさんあるんです。
今回は、フランス在住歴あり・フランス語学習歴10年以上の筆者が、フランス語の様々な「愛してる」の表現をご紹介します。
基本の「Je t’aime」は、カタカナ発音も添えて詳しい発音方法を解説します。また、「愛してる」への返答方法や、私がフランス人の友人に直接聞いたフランス人独自の恋愛観もご紹介します。
フランス語学習者はもちろん、フランス語の愛の表現を知りたい人など、様々な人に役立つ内容となっています。
フランス語で「愛してる」
【愛してる】
Je t’aime(ジュテーム)
一般的かつ、ストレートな「愛してる」の表現です。日本人でもこの表現を知っている人は多いかと思います。
日本人の私たちにとって、「愛してる」という表現は恋人同士で使うイメージがあるかもしれませんが、フランス人は家族同士でも「Je t’aime」を使います。
筆者自身も、遠方に住む両親と電話するフランス人の友人が、電話の終わりに「Je t’aime」と言うのを耳にしたことがあります。
カップル同士でももちろん使いますが、他にもたくさんの愛情表現があるからか、実はそれほど「Je t’aime」の使用頻度は高くないように感じます。
気をつけたいのが、「Je t’aime」という表現は本当に愛している人にしか使わない表現だということ。
告白する時や付き合いたての頃の愛情表現としては、少し強すぎてフランス人にも違和感があるようです。
家族や、ある程度の月日を共にした恋人に使う表現として覚えておくといいでしょう。
フランス語で「愛してる」のカタカナ発音
「Je t’aime」の発音は、カタカナで「ジュテーム」と書かれることが多くあります。
このカタカナ発音でフランス人に通じるのだろうか、と不安な人もいるかもしれません。
実は、このカタカナ発音は比較的フランス語の発音に近いため、カタカナ発音をしても通じることが多いかと思われます。
しかし、よりネイティブに近い発音を目指すなら、以下の点に気を付けると良いでしょう。
- 「Je」は日本語ほどはっきりと発音しない
「ジュ」と「シュ」の中間の音を目指して、空気を含んだような音にすると良い
- 「ム」は日本語のように口を突き出すのではなく、一度口を閉じて空気を堰き止めてから、口と鼻両方から息を吐きながら「ム」と発音する
そこまで強く発音する必要はなく、軽く聞こえる強さで良い
フランス語で「愛してる」の表現10選
ここからは、「Je t’aime」以外にフランス人が使う、「愛してる」という気持ちを伝える表現を10個ご紹介します。
いずれのフレーズもフランス人が実際に使う、ネイティブになじみがある表現です。ぜひ、フランス人らしい様々な愛の表現を学んでみましょう。
これ以降に紹介するフレーズの発音をカタカナ表記にしていますが、これはあえて日本語の発音に置き換えた場合の表記です。
実際のフランス語の発音とは異なる場合がありますので、ご了承ください。
表現①:あなたが恋しい
【あなたが恋しい】
Tu me manques(テュ・ム・モンク)
これはフランス人が気軽に使う「愛してる」の表現の一つで、私もフランス在住時によく耳にしました。
英語の「I miss you」にあたる表現です。直訳すると「私にあなたが足りない」、つまり「あなたがいなくて寂しい」という意味になります。
直接相手に言うのではなく、メールや手紙などで目の前に相手がいない場合に使います。
友達に対しても使える表現です。しかし、かなり親しい友達でなければ不自然な印象もあるので、使う相手には注意が必要です。
表現②:あなたをとても愛してる
【あなたをとても愛してる】
Je t’aime fort(ジュ・テーム・フォール)
こちらもフランス人が使う「愛してる」の表現です。
直訳すると「あなたを強く愛している」となります。「Je t’aime」よりも強く、しっかりと愛情を示したい時に使える表現です。
プロポーズにも使えるようなフレーズなので、毎日使うには少し強すぎると感じるフランス人もいるようです。
表現③:何よりも君を愛している
【何よりも君を愛している】
Je t’aime plus que tout(ジュ・テ-ム・プリュス・ク・トゥ-)
「何よりも君を愛している」という言葉は、日本のドラマなどでも耳にすることがありますね。フランス語では「Je t’aime plus que tout」と言います。
特別な場に限らず、日常の愛情表現としても使うフランス人はいるようです。とても熱いフランス人の愛情表現が垣間見えます。
表現④:狂おしいほど愛してる
【狂おしいほど愛してる】
Je t’aime à la folie(ジュ・テーム・ア・ラ・フォリ)
日本語訳の「狂おしいほど愛してる」と聞くと少し過度な印象もありますが、一般的によく使われる「愛してる」の表現の一つです。
この表現を使ったからと言って、特に相手が怖がるといったことはないのでご安心を。「君に夢中」といったようなニュアンスと捉えると良いかもしれません。
表現⑤:あなたを心から愛してる
【あなたを心から愛してる】
Je t’aime de tout mon coeur(ジュ・テム・ドゥ・トゥ・モン・クール)
こちらもよく使われる「愛してる」の表現の一つです。
直訳すると「私の心の全てで君を愛している」という意味になります。この表現は家族間でも使え、相手への深い愛情を伝えられる表現と言えるでしょう。
この表現も覚えておくと、より豊かに「愛してる」を伝えることができるようになると思います。
表現⑥:君にメロメロだ
【君にメロメロだ】
Tu me fais craquer(テュ・ム・フェ・クラケ)
相手に対する愛おしい気持ちを伝えられる表現です。恋人だけでなく、自分の子供や孫などに対してもよく使われます。
craquerは「折れる・割ける・壊れる」などを意味する言葉で、直訳すると「君が私を壊す」という意味になります。
日本語で言う「君に首ったけ」、「君に夢中」といったところでしょう。
表現⑦:あなたと一緒にいたい
【あなたと一緒にいたい】
Je veux être avec toi(ジュ・ヴ・エートル・アヴェック・トワ)
これもカップル同士でよく使われる表現の一つです。Je t’aimeを使わない愛情表現のレパートリーの一つとして、役立つフレーズです。
「愛してる!」と直接的に言うよりも、可愛らしく愛情を伝えられるフレーズかと思います。
表現⑧:ずっとあなたと一緒にいたい
【ずっとあなたと一緒にいたい】
Je veux rester avec toi pour toujours(ジュ・ヴ・レステ・アヴェック・トワ・プール・トゥジュール)
こちらもフランスでよく使われる愛情表現の一つです。一つ前の「Je veux être avec toi」と同じく「一緒にいたい」=「愛してる」という、「Je t’aime」とはまた違った形で愛情を伝えられる表現です。
ちなみに、「pour toujours」で「ずっと」、「永遠に」を意味します。
表現⑨:君が居ないと生きていけない
【君が居ないと生きていけない】
Je ne peux pas vivre sans toi(ジュ・ヌ・プ・パ・ヴィ-ヴル・サン・トワ)
これも「愛してる」の表現の一つですが、とても強い愛情表現のフレーズです。日常的に使うというよりも、プロポーズなどの特別な時に使う表現です。
先に紹介した「Tu me manques」は、親友などにも使うことがありますが、こちらの表現を友人に使うことはありません。それだけ特別な愛の表現として覚えておいてください。
表現⑩:私のかわい子ちゃん
【私のかわい子ちゃん】
Mon bébé(モン・べべ)
こちらは番外編の愛情表現です。
フランスには、ストレートな愛情表現とは別に、相手にあだ名をつけることで愛情を表現するという方法があります。
私のフランス人の友人も、日常的な愛情表現として「あだ名」を使うことが多いと言っていました。
あだ名は、「Ma princesse(僕のプリンセス)」や「Mon trésor(私の宝物)」など、それぞれのカップルで様々なようです。
さらに、ずっと同じあだ名を使うのではなく、色々と新しいあだ名を作ることが更なる愛情表現にもなるのだとか。
常に新しいあだ名を考える努力を惜しまない、それだけ相手のことを考えているということが、自分への愛情と感じるのでしょう。
日本はずっと同じあだ名を使い続けることが多いかと思いますが、この点には文化の違いを感じますね。
フランス語で「愛してる」への返答の仕方
次に、「愛してる」と言われた時の返答として使える表現をご紹介します。
【私も】
Moi aussi(モワ・オウスィ)
こちらは一番シンプルな返答の表現です。
「Moi aussi. Je t’aime」など、相手が言った表現を繰り返して伝えると、より丁寧な返答になります。
他にも以下のような肯定表現があります。
【ありがとう。優しいね】
Merci, c’est gentil(メルスィ・セ・ジャンティ)
【感動しちゃった】
Ça me touche(サ・ム・トゥッシュ)
もし相手からの「愛してる」を断る時には、普通に「ごめんなさい」と伝えても大丈夫です。
他には、恋人がいる旨を伝えるといった断り方もあります。
【ごめんなさい】
Je suis désolé(e)(ジュ・スイ・デゾレ)
※女性が使う場合は、後末にeが付く(発音は同じ)
【恋人がいるんです】
女性の場合:J’ai un copain(ジェ・アン・コパン)
男性の場合:J’ai une copine(ジェ・ユヌ・コピーヌ)
フランス人の恋愛観
フランス人は「恋愛」をとても大切にしています。
たとえ月日を重ねたカップルや夫婦でも、お互いに愛情表現をしっかりとする文化があります。
また、子供が産まれたとしても、夫婦間の「恋人」としての関係性や接し方を忘れません。
もしお互いを「恋人」として愛せなくなった時には、たとえ子供がいたとしても、別れて別の相手を探すという恋愛観を持っている人も少なくありません。
フランス人にとって「恋愛」とは、それほど優先順位の高いものなのです。
この考え方は、恋人から夫婦、夫婦から家族というステップを考える日本人とは、大きく異なる考え方と言えるのではないでしょうか。
また最近は、フランスの一部の若者の間で「自由恋愛(l’amour libre)」というものも流行っているそうです。
これは、公に複数の人と同時に交際するというもの。日本ではあまり見られない恋愛の仕方で、愛の国フランスの凄さを感じますね。
まとめ
一言に「愛してる」と言っても、フランス語には様々な表現があることをお分かりいただけたかと思います。
相手やシチュエーションによって使える表現と使えない表現もあるので、それらも踏まえて覚えておくと良いでしょう。
フランス人独自の愛情表現を理解することは、コミュニケーションにおける誤解を防ぐなど、とても役に立ちます。
ぜひフランス人の恋愛観も学びながら、スマートなコミュニケーションが取れるようになることを目指しましょう。
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