「フランス語の中で発音が難しいのは?」という質問に、多くのフランス語学習者が「r」と答えます。

なぜフランス語の「r」は、日本人にとって発音するのが難しいのでしょうか。

それにはいくつか理由があります。そして、それぞれの理由にきちんと対処すれば、日本人でもフランス語の「r」を発音することは難しくありません。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語の「r」の発音が難しい理由やおすすめの練習方法を解説します。

フランス語のrの発音とは?

まずはフランス語の「r」がどんな音か、以下の動画で聞いてみましょう。

こちらの動画では、ネイティブが話す「r」の音を聞くことができます。

英語の「r」とは違う、少しガラガラとした音ですね。これがフランス語の「r」の音です。

フランス語のrは日本人にも発音できる

私自身も、フランス語の勉強を始めたばかりの頃は「r」の発音がうまくできず、ネイティブに聞き取ってもらえないことが多々ありました。

しかし、正しい発音の仕方や練習方法を学んでからは、フランス人にも「上手だね!」と言われる「r」の発音ができるようになったのです。

「r」が発音できない人は、発音の仕方やポイントを知らない場合がほとんどです。言い換えれば、ポイントを掴めば日本人にもフランス人に伝わる「r」の発音ができます。

日本人だからと言って、フランス語を美しく発音することを諦める必要は全くありません。

【関連記事】フランス語が難しい理由とは?発音やリスニングなどの各観点から詳しく解説

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フランス語のrの発音が難しいと言われる3つの理由

発音方法を学ぶ前に、「なぜ発音が難しいのか」という理由を知る必要があります。

フランス語の「r」の発音が難しい理由は、おもに以下の3つが考えられます。

  1. 日本語のひらがなに無い音だから
  2. 英語のrに馴染みが深いから
  3. 正しい口や舌の形を知らないから

理由①:日本語のひらがなに無い音だから

フランス語の「r」は、日本語の50音にはない音です。

つまり、日本人が認識してこなかった音なので、発音をしたこともなければ、発音方法も分からないのは当然のことと言えます。

「r」の発音が難しいと言われる理由の一つは、ここにあります。

「教科書や参考書に書かれているカタカナ表記の通りに発音しているのに…」と思う人もいるかもしれません。しかし、それは正しい発音ではないのです。

カタカナ表記の例:

R(エール

上記のような記載を見かけますが、フランス語の「r」の発音は日本語の50音にはない音である以上、カタカナで正しく表記できません。

カタカナ表記は、音のイメージを伝えるための参考と捉えた方が良いでしょう。

理由②:英語のrに馴染みが深いから

私たち日本人は、フランス語の「r」よりも英語の「r」の音に馴染みが深いと言えます。それは、フランス語よりも英語に触れる機会のほうが日常生活の中で圧倒的に多いからです。

そのため、フランス語の「r」を発音する時も、英語の「r」のように発音してしまう人が多くいます。

しかし、フランス語の「r」と英語の「r」の発音は全く異なります。同じ「r」ですが、国際音声記号上でも別の音として扱われています。

国際音声記号
英語のrɹ
フランス語のrʁ(※)

※フランス語の「r」の発音は数種類ありますが、最も一般的と言われている[ʁ]を記載しています

英語に馴染みが深いという環境的要因も、フランス語の「r」の発音を難しくしている要因の一つです。

理由③:正しい口や舌の形を知らないから

ネイティブの音を聞いて発音を真似する」という練習法がありますが、それだけでは発音の習得は難しいと考えます。

その理由は、発音には口の形や舌の位置が大きく関係してくるからです。正しい口の形・舌の位置でなければ、同じ音を出すことはとても難しいのです。

フランス語学習者の中で、各音の口の形や舌の位置を学んでいる人は多くありません。ほとんどのフランス語学習者が正しい口の形や舌の位置を知らないのです。

これが、「r」の発音が難しくなっている3つ目の理由です。

「ネイティブの発音を真似しているはずなのに、なぜか同じにならない」という場合は、口の形や舌の位置が違っている場合があります。

フランス語のrの発音には種類がある

実は、フランス語の「r」には次の3つの発音があります(※)。

※このほかにも発音の種類があるとも言われています

  1. 有声口蓋垂摩擦音(consonne fricative uvulaire voisée)
  2. 口蓋垂ふるえ音(consonne roulée uvulaire voisée)
  3. 歯茎ふるえ音(consonne roulée alvéolaire voisée)

少し専門的な話になりますが、知っておくと「r」の聞き取りもしやすくなるはずなので、ぜひ参考にしてください。

[ʁ]:有声口蓋垂摩擦音(consonne fricative uvulaire voisée)

一つ目は、有声口蓋垂摩擦音(consonne fricative uvulaire voisée)で、国際音声記号は [ʁ]です。

wikipediaで、実際の音声のサンプルを聴くことができます。

参考:wikipedia|有声口蓋垂摩擦音

方言など、地域によって「r」の発音は少しずつ異なるようですが、一般的にフランス語の「r」の音と言えば、この有声口蓋垂摩擦音だとされています。

[ʀ]:口蓋垂ふるえ音(consonne roulée uvulaire voisée)

もう一つの「r」の音は、口蓋垂ふるえ音(consonne roulée uvulaire voisée)と言われる音で、国際音声記号では [ʀ] と書きます。

wikipediaで、実際の音声のサンプルを聴くことができます。

参考:wikipedia|口蓋垂ふるえ音

口蓋垂ふるえ音は、かなり舌を巻いた音です。フランスのシャンソンなどでよく聴く音ですが、日常会話ではあまり聴くことはありません。

[r]:歯茎ふるえ音(consonne roulée alvéolaire voisée)

最後は、歯茎ふるえ音(consonne roulée alvéolaire voisée)で、国際音声記号では[r]と表記されています。

wikipediaで、実際の音声のサンプルを聴くことができます。

参考:wikipedia|歯茎ふるえ音

歯茎ふるえ音はスペイン語の「r」の発音でもあり、「巻き舌の r」とも呼ばれている発音です。

一般的なフランス語の「r」の発音ではありませんが、南フランスなどの方言では、このように「r」を発音する人もいるそうです。

フランス語のrの発音は[ʁ](有声口蓋垂摩擦音)から覚えよう

「r」の3つの発音を紹介しましたが、基本は[ʁ]有声口蓋垂摩擦音(consonne fricative uvulaire voisée)を発音できれば問題ありません。

日本語でも、ひらがなの発音やイントネーションが人や地域によって異なるように、フランス語の「r」も、北部・南部といった地域でかなり異なるのです。

日本人が日本語の方言をすべてマスターする必要がないように、フランス語の「r」もすべての発音を覚える必要はありません。

まずは、一般的な「r」の発音とされている有声口蓋垂摩擦音の発音を身につけましょう。

【関連記事】フランス語のフレーズ一覧30選!日常で使える挨拶表現を発音とともに解説

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フランス語のrの発音をマスターする方法

では、実際に「r」の発音をマスターする練習方法を紹介します。ステップは以下の2つです。

  1. 口と舌の形を覚える
  2. 実際にrの発音を練習する

フランス語のrを発音する時の口と舌の形を覚える

フランス語の「r」の口の形・舌の位置は、次の1から3の手順を実践すれば再現できます。

  1. 日本語で「か」と発音し、喉の手前あたりに舌が触れる場所があることを確認する
  2. 1で確認した場所に舌の根元を近づけ、息の通り道を狭める
  3. 舌先を下前歯の裏にくっつける

この口の形を保ったまま喉から息を吐くと、日本語の「ハ」がかすれたような音が出ます。これこそがフランス語の [r] の音です。

口の形や舌の位置は、正しく「r」を発音する上でとても大切です。何度も繰り返して、自然に再現できるように練習しましょう。

フランス語のrを実際に発音してみる

口の形・舌の位置を覚えたら、実際に「r」を発音しましょう。「r」の発音を練習する方法はいくつかあります。

この記事では、以下の3つの練習方法を紹介します。3つ全てを試してみて、やりやすいものをご自身の練習方法として採用してください。

  1. 日本語の「は」の発音を活用する
  2. うがいをする時の音を真似する
  3. 動物の唸り声を真似する

練習方法①:日本語の「は」の発音を活用する

一つ目の練習法は、日本語の「は」の発音を活用するものです。

先ほど紹介した「r」の口の形を再現した状態で、喉の手前あたりで「はー」と発音します。

この「はー」という音は、ひらがなの「は」としっかり発音するより、息を強く吐くようにすると良いでしょう。走り終わった後に「はぁー、はぁー」と息を吐くイメージをしてみてください。

すると、喉の手前あたりで「グルル…」とかすれた音が出るはずです。これが「r」の音です。

練習方法②:うがいをする時の音を真似する

フランス語の「r」の発音方法としてよく紹介されるのが、うがいをする時の音を真似する方法です。

「r」の口の形を再現したら、喉の手前あたりで「ガラガラ」とうがいをする真似をしてみましょう。

すると、喉の手前あたりが震えて「グルル」というかすれた音が出てくるかと思います。これが「r」の発音です。

この練習法は「r」の発音の感覚を掴むのにとても有効ですが、力を入れすぎて誇張した「r」の音になってしまう人もいます。

喉が震える感覚を掴めたら、ネイティブの「r」の音を聞いて、力の抜けた自然な「r」が発音できるようにも練習しましょう。

練習方法③:動物の唸り声を真似する

練習方法②とも似ていますが、動物の唸り声を真似することで、フランス語の「r」の発音を練習することもできます。

口の形や舌の位置をセットしたら、ライオンのように「グルル…」と喉の手前あたりで唸ってみましょう。すると、うがいの時のように振動するのを実感できるかと思います。

この振動が、フランス語の「r」の発音の特徴と言えます。

この練習方法もとても効果的ですが、練習方法②と同様に少し誇張した発音になりがちなので、注意しましょう。

フランス語のrの発音を練習するには会話がおすすめ

「r」の発音は、個人的に練習すると同時に、実際に会話で使ってみることが大切です。ネイティブとの会話で、自分の「r」の発音が通じるかどうかをチェックしてみましょう。

会話練習にオススメなのが、オンラインで仏会話レッスンを受けられるitalkiです。

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まとめ:フランス語のrの発音を身につけて自然な話し方を目指そう

本記事では、フランス語の「r」の発音が難しいのには、次の3つの理由があることを解説しました。

  1. 日本語のひらがなには無い音だから
  2. 英語のrに馴染みが深いから
  3. 正しい口や舌の形を知らないから

また、フランス語の「r」の発音は3種類あること、有声口蓋垂摩擦音が一般的なフランス語の「r」の発音と言われていることも紹介しました。

  1. 有声口蓋垂摩擦音(consonne fricative uvulaire voisée)
  2. 口蓋垂ふるえ音(consonne roulée uvulaire voisée)
  3. 歯茎ふるえ音(consonne roulée alvéolaire voisée)

そして、フランス語の「r」の正しい口の形や舌の位置、効果的な練習方法も3つ紹介しています。自分に合ったもので「r」の発音をマスターしていきましょう。

  1. 日本語の「は」の発音を活用する
  2. うがいをする時の音を真似する
  3. 動物の唸り声を真似する

フランス語の「r」は日本語にない音なので、最初のうちは発音に苦労するかと思います。

しかし、この記事で紹介した方法で繰り返し練習すれば、段々と自然なフランス語の「r」が身につくはず。

ぜひ「r」の発音をマスターして、自信を持ってフランス語の会話を楽しんでください。

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